超党派議連の事務局長として法案を作成してきた
「過労死防止対策推進法」が参議院本会議で成立。
厚生労働省には新たに推進室が設置され、
今後は過労死やうつ病の実態調査や行動計画の策定などにより、
ブラック企業や長時間労働の問題解決に資することが期待されます。




186-参-厚生労働委員会-23号 平成26年06月19日

○津田弥太郎君 法案提出者の泉衆議院議員にお伺いしたいんですが、そのような状況の中でなぜ今過労死に焦点を当てた特別の法律を成立させなければならないのか、その理由について御説明ください。

○衆議院議員(泉健太君) 御質問ありがとうございます。また、御審議ありがとうございます。
 まず、今回の過労死防止の法案につきましては、やはり社会的に長く我が国の労働環境が大変悪化をしており、過労死も社会問題化しているという事情がございました。今ほど御説明のあった過労死の労災認定件数、これは二百十六件ということが挙げられましたけれども、その周辺には、例えば気分障害と言われる、厚生労働省の調査、こちらで国内でも百万人近くの方が精神障害、気分障害ということの疾患にかかられているということを始め、その他にも様々、心疾患や脳血管疾患において仕事が、就労が難しくなっておられる方というのが多数おられます。
 そういった意味では、死亡者数のみならず、こういった多くの健康を害されている方、あるいは命を落とされる方がおられるという環境に鑑みて、また国際的にもカローシという言葉そのものが英語の辞書に載るというぐらいに国際的にも日本の労働環境が大変大きな問題になっているということに鑑みての、今回の法律の制定を目指しているということでございます。

○衆議院議員(馳浩君) 昨年の五月にILOにおいても勧告が出されております。私も、友人がILOに勤務しておりまして、お話を伺いました。馳さんね、カラオケと同じようにカローシという言葉がILOにおいても非常に懸念を示されていると、そしてその勧告には立法措置も含めて対処を求めると、こういう勧告となっており、その後、超党派で議連がつくられて、その後、何としても超党派でこの問題は正面から立法府として答えを出すべきであると、こういう考え方に基づいて今回の立法に至ったものであるということをお伝えします。

○津田弥太郎君 法律の制定の必要性ということについて御説明がございました。
 この法案の第二条で、そもそも「過労死等」の定義として、脳血管疾患若しくは心臓疾患の場合についても、あるいは精神障害についても、その原因が日常生活上の行為ではなく、あくまでも業務、「業務における」ということで原因を限定しているわけですね。
 この点、過去の労災認定の状況を見ますと、不幸にして過労死が発生してしまったケースについては、まず間違いなく一日八時間、週四十時間という労働時間の大原則を大幅に超えた勤務実態が認められているわけであります。
 そこで、泉衆議院議員にお尋ねしますが、なぜ労働者はそのような労働基準法の大原則を超える労働時間の勤務をしてしまったのか、なぜ自らの健康と命を守るためにそうした業務については断固として拒否をしなかったのか、ここがポイントになるだろうと思うわけで、こういうことについての職場の実態も踏まえておられると思いますが、御答弁をお願いします。

○衆議院議員(泉健太君) ありがとうございます。
 各企業、職場、業界において様々な特徴ですとか事例があると思いますけれども、やはり会社に入ったときは誰しも一定の労働条件で働けるものだというふうに思っていると思うんですが、いざ職場に入ってみると、いわゆるパワハラ、そういったもので、非常に職場で相当きつい労働をさせられる、あるいはノルマを課される、中には職場の中でのいじめに遭うと、そういうケースもあります。そのノルマを果たさなければ、あるいはその仕事を終えなければ、会社を出てはいけない、あるいはそのまま夜泊まって勤務をしなさい、タイムカードはいついつまでに押して働き続けなさい等々、様々な事例がございます。
 そういったものが、今はブラック企業なんという言われ方もされておりますけれども、そういったところに象徴されるように、今行われているというところがあって、労働者一人一人が声を上げたくても、なかなか会社全体がそういう雰囲気である会社も含めて相談に乗ってくれる方がいなかったり、あるいはSOSを発せれられる周りの人がいなかったりということで、本人自身も抱え込んでしまって、中には自死に至るケースもあれば、本当に心疾患や精神疾患になってしまう場合もあるということであります。

○津田弥太郎君 よく分かりました。