『艶〜The color of love』のこと | ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

『艶〜The color of love』のこと



2013年モナコ国際映画祭で「最優秀アートフィルム賞」をいただいた
『艶~The color of love』は旧知の書道家、
鈴木宥仁(すずきゆうじん)とのおよそ10年以上ぶりの再会から生まれました。
彼の作品は今、フランスの美術サロンで評価を得て、
売れっ子の書家になっているが、
出会った当時はまだまだ駆け出しの書家で、
パーティー等で出会っても売り込みとカッコつけるのに必死で、
それは僕も同じだった。
僕はその後、そんな自分がすっかり嫌になり、
人からもパーティーからも離れ、
実は彼も時をほぼ同じくして、故郷の静岡へ帰ってしまっていた。
それがかえって良かったのだろう。
再会した時にはすっかり肩の力も抜けとてもいい字を書くようになっていた。




「あの頃は・・・」という話題にはお互い苦笑いの連続で、
力の抜けた者同士、じゃあ何か一緒に作ってみようかという話になり、
この作品が生まれたのです。
テーマを決めようと話し合った時、
今、何か一文字書くとすればなんだ?という僕の質問に
かれは「うーん、『愛』かな・・」と答え、
僕はすかさず「嘘つけ!もうカッコつけんなよ」と突っ込んだところから一気に勢いは増し、
結局スケベな僕らは
隠しきれない性と
勝ち目のない女性の強さを表現する『艶』を映像化のテーマに決めた。



そうなるとやはり美しい女性が必要だという事になり、
女優の古池千明とヘアメイクの加藤早紀に声をかけ、
結局この四人と静岡でお茶を作っている松島 弘明のサポートだけでロケを行った。
静岡の掛川で行うことになった撮影だが、
東京でできる衣裳やメイクを加藤と相談しながらやり、
ロケ場所やお茶に関する事は鈴木に任せたのだが、
いざ行ってみるとどうにもしっくりこない。
鈴木自身も僕や加藤のこだわりや古池の集中力を目の当たりにして、
「来月、もう一回来てくれ。一から考え直したい」と言い出した。
全員、それが嬉しくて、
ひょっとしたらその時が初めてチームが一つになれた瞬間だったのかもしれない。



さて、内容に関してはまたお話しするとして、
完成した時にまたチーム全員集まって観て、
その一体感と美を喜び合った。
ちょうどその頃、モナコで『彩』が受賞した時だったので、
盛り上がったみんなのたっての希望でこの作品も出品する事になった。
実は僕自身、映画祭に出すなんて事は全くイメージしていなかったのだが、
みんなに押されるまま出してみたら幸運にも賞までいただいたという無欲の作品です。
徹底的に拘った日本の色を楽しんで頂きたいです。

モナコ国際映画祭二年連続受賞作品
「彩~aja」(2012)、「艶~The color of love」(2013)、劇場公開のお知らせ
【東京】
9/11(木)-15(月・祝) ①16:00 ②19:00
@原宿・CAPSULE(カプセル) http://capsule-theater.jp/

【京都】
9/20(土)-23(火・祝) 11:00
@木屋町・立誠シネマプロジェクト http://risseicinema.com/

*全回、来場トークあり。

『彩~aja』(49min.)
2012モナコ国際映画祭
最優秀オリジナルストーリー賞・最優秀撮影監督賞
最優秀オリジナル音楽賞・最優秀新人俳優賞(笠原千尋)
出演:笠原千尋(彩)、猪爪尚紀(蒼)、藤原夏姫(ルイ子) 
蒼の絵: 天野弓彦 助監督:前田達哉

『艶~The color of love』(19min.)
2013モナコ国際映画祭
最優秀アートフィルム賞
出演:古池千明(天の女)、鈴木宥仁(書家)

【チケットのご予約】
東京プチ・シネ協会 tokyo_petitcine@yahoo.co.jp

まで、お名前、日にち、時間(東京のみ)をお書き添えの上、メールをお送り下さい。
全席自由席 ¥1,500 (京都のみ、会員割引あり)