『千年の糸姫』②クランクアップ | ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

『千年の糸姫』②クランクアップ




いや、②でクランクアップって・・・・
いやいや、もちろん遡って色々報告しますって
うるさいくらいにね!

最後の最後まで
一分、一秒に追い立てられるような撮影だった
お陰でクランクアップの時の感慨など味わっている暇もなかった
2日たった今、やっとのことで身体と心が動き始めている
珍しく振り返ってみると
とにかく苦しいロケだった

もっと別のやり方はなかったのだろうか?
どうしてあんな態度をとってしまったのだろう?
そもそももっと別の監督の方が良かったのでは?

そんな事を考えてしまうほど、
今回、僕は監督としてダメだった。
映画を作るだけではなく、
映画を作る環境を作るところから
監督として僕はしくじっていた。

それでも素材をチェックしてみると
すごい映像が撮れている
これは一重に役者たちの物語と役柄に対するぶれない思いと
有能なスタッフたちの粘り強い働きに依るものだ
船頭が崩れても舟は動いた
素直に喜んではいけないが
僕は彼ら、彼女達への尊敬と感動に充たされている
せめて彼女達にとって、そして何より観て頂く皆さんにとって
意味のある作品にするべく
これからこの宝物を編み上げていかなくてはならない。




最終日のこの日
午前中は劇中最も穏やかで温かいシーン。
ところが午後からは最も凄惨で悲しいシーン。
役者たちにとってはとんでもないスケジュールだったろう
せめて日を分けてやるべきだった
だが彼女達は文句ひとつも言わず
見事にこの苦しみを乗り越えてくれた








ヘアメイク、衣裳、技術スタッフ、広報に至るまで
苦しいほどの一体感。
それに巻き込まれるように
この日初めて参加した役者やスタッフさえも
最後にはもう誰が何をやっているのか分からないほど
みんなで舟を動かしていた。
導いたという実感はない。
ただ、みんなの情熱とプロフェッショナリズムが
一つの方向へ突き進んでいたのだと思う。









そんな人達に
僕はありがとうもごめんなさいも言えなかった
なぜならそれはもう僕の為にとか監督に従ってとかのレベルではなかったから
みんな、それぞれの力で『千年の糸姫』を作り上げようとしていたのだ。
ただ、凄い、と思った。








僕には監督としての力が
まだまだ全然足りない
この素晴らしい人達がいたからこそ
それに気付き、
今は正直、ボッコボコに凹んでいるが
きっとまた歩き出すのだろう。
その結果を、『千年の糸姫』という作品を
楽しみにしてほしい!