映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクト 2 | ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクト 2

映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクトのクラウドファンディングも残すところ一ヶ月を切りました。目標額の10%という途中経過ではありますが、それでも30万という大金をお寄せ戴いた事、本当に感謝しております。できる限りの規模で劇場でご覧戴けますよう、頑張っていきたいと思います。9/15日の締め切りまで、少しでも多くのご支援をいただけますよう、よろしくお願いします。

 

 

 

さて、今回はオーディションと稽古の様子をお伝えします。

これまで様々なプロジェクトでオーディションを行ってきましたが、正直を言うとあまりいい印象は残っていない。型通りの自己紹介とその場で渡されたエチュードをやってもらっても、どうにもテンションが上がらないまま、「結果は追ってご連絡します。」って感じ。だけど今回は全く違っていた。始めにこの物語の概要とそれに込めた思いをしゃべったところまではいつもと同じだったが、その後、すでにほぼ完成に近い状態の台本の中から幾つかのシーンを役をとっかえひっかえやらせてもらう事にした。そしてほぼトップバッターに近いところで出て来たのが後に主演を務める二宮芽生。普通は本読みと変わらないくらいで終わってもいいようなもんだが、彼女の鬼気迫る演技が会場の空気までも一変させた。その後に続く人の全てが、とんでもない頑張りを見せ始めた。中には知った顔もあったのだが、その人でさえ僕が知っている顔とは違う顔を見せ始めた。今から振り返ってみても、次々魅力ある役者達が現れたように思う。それはとても幸せな時間だった。それでも火をつけた二宮芽生の演技はずば抜けていた。スタッフ全員一致で彼女が糸姫の役を勝ち取った。実のところ、彼女にとって、本格的な映画はこれが初めて。ましてや主役になどやったこともない。それだけに期するものがあったのだろうし、変に冷めたオーディションの空気を知らなかったのも良かったのかもしれない。余談だが、同行していた彼女のマネージャーでさえ、そんな彼女の演技を見た事がないと、号泣していたくらいだ。とにかくこの芝居のスタートを非常にレベルの高いところからにしてくれたのは間違いなく彼女で、それはその後の稽古にまで続いてゆくことになる。本当に感謝している。

 

 

実は普通の映画製作では稽古というのはあまりないことが多い。これがとても不満だ。だから僕はどんな小さな作品でも必ずたっぷり稽古する。そこで役者たちと多くを語り、最初は僕のイメージを細かく伝えていく事が多いのだが、それを相手役も一緒に丁寧に言葉と心を繋げていく内に、その人格がフッと役者に宿り、彼女達のものになる瞬間を迎える。この瞬間がたまらなく好きだ。だって、後は観客のような目で役者達の中で育っていくものを見ていられるのだから。オッサン監督の頭では考えつくはずもないリアルな表情が吹き出してくる。できるだけ撮影地の写真を見せたり、製作中の衣裳を一緒に見に行ったりしてみんなが育つのを手助けする。ただ舞台作品と違うのは通し稽古は必要ないということだ。本番は現場のカメラの前で一回できればいいのだ。だから段取りや位置関係の事をきにしないで、ただただその言葉と心を掘り下げることができる。このような稽古はベテランでもなかなか経験した事がないと言っていた。そして苦しいけど楽しいとも言ってくれた。これが僕のやり方なのだが、それを受け入れてくれた役者達には本当に感謝している。僕はその時から役者達を本名では呼ばず、必ず役名で呼ぶ。だって目の前にいるのは、例えば二宮芽生ではなく、完全に心を宿した糸姫なのだから。

 

 

こんな幸せなやり方はメジャー作品ではなかなかできないことなんじゃないだろうか。だから演技には自身がある。だからこそ劇場で観ていただきたい。頑張ります!そしてご支援よろしくお願いします!

 

【予告編】