映画作りって難しい | ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

映画作りって難しい

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とある映画を見た
とてもダメな映画だった。
10年以上も前の映画だったが
それにしても画面に美しさがなくカメラワークも凡庸で、いわゆるVシネレベルで、演技、構成も主役の人を除いては全てが説明に終始している。
とてもガッカリだった。
なのに最後まで見てしまった。
それは物語のテーマに強く惹かれたからだ。
きっともっと深いものがある筈だ。
そう思って原作を読んでみる事にした。
一般的にはよくあることなんだろうけど、僕にとっては初めてのことだ。
やっぱりとても深みのある素晴らしい作品だった。ある事に対する高いレベルの論理と野性の向き合い。もちろん論理は野性には太刀打ちできない。それを説明しようとすると、説明という行為自体が論理的なものなので、根本的にズレてしまう。それがこの映画の根本的な間違いだったのだろう。ただ、この長い小説を2時間の映像化するとなると、そりゃぁ大変な事だろう。自分ならどうするだろう?と考えて答えはすぐに明確に出た。が、それは多分観客には理解し難い、多分企画書も通らないようなものになってしまうだろう。

結局、僕はその映画をきっかけに原作を読んでいる訳だし、何より映画として存在している。商業映画としての責任は充分果たしていると言える。それでも僕にはどうしてもダメな映画、映画ってそれじゃあダメとしか思えない。こんな僕だから居場所がないんだろう。生きにくいんだろうと解ってしまっている。この物語を僕が映画化するチャンスはまずないだろう。でも、いつかこの素晴らしい作品を生んだ作家さんに会うことができたなら、この文章を読んでもらい、「これはあの作品の事です。僕なら....」なんてまくしたてるんだろうな(笑)じゃあやってみな、なんて言われたら無茶苦茶のめり込んで、苦しんで、幸せなんだろうな。いやぁ、映画作りってなんて難しくって楽しいものなんだろう!
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