さて年末 | ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

さて年末

この季節、総括とか◯大ニュースとか、何かと人を振り返らせようとする。前々から僕を知っている人は分かっているだろうが、僕はそういうのが大嫌い。まず振り返らない。人を笑わせる為の体験談を話す事は嫌いじゃないが、それとこれはちょっと違う。なんか自分の足跡を確認する的な、そういう気分にはとてもなれない。どうせ大した事は起こっちゃいないさ。

そうなんだけどね、振り返っているワケじゃないんだけどね、不思議とここ最近、過去に纏わる事、それも人生の転機とも言える時に纏わる事が立て続けに起こって、強く昔を思い出したりしている。気持ち悪い。ひょっとして死んじゃうのかな?走馬灯って奴か?気持ち悪い!

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一つ目はAllman Brothers Bandのフィルモアイーストのライブ。アメリカサザーンロックの名盤だが、これはフィルモアイーストという伝説のホールで行われた3日間の演奏からベストテイクを選んで二枚組のレコードにまとめた物だった。その3日分の演奏の全曲が収められたBlu-rayオーディオで96kHz/24bitという高音質で発売された物を見つけたのだ。元々のこのレコードはエレキギターを弾き始めた中学生の僕を大きく変えてしまった。ギターってこんなに語れるもんなんだということを知って、そこからブルースにのめり込んでいった。周りのみんながメタルや早弾きに夢中になっている時に、僕はただただ一音入魂の音色を求めていた。お陰でプロになってからも、もちろん今も早弾きは出来ず、結果、ギターリストとしてはパッとせず、早々に作曲家の道を進むことになる。そんな自分にとって大きな意味を持つ名盤が、昔以上の形でこの手に戻ってきたのだ。もちろん未発表のテイクもたくさん入っていて、新しいAllmanに出会う事ができた。

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もう一つは“Piaf”という映画。シャンソン歌手のエディットピアフの伝記映画で、他にも何度か映画化されているが、この1970年頃に作られた物だけはDVD 化もされず、もちろん再上映もされず、ずっと探し、待ち続けてた物。そのBluray がアメリカだけで発売されているのを知人が見つけてくれたのだ。元々ストリートシンガーだったピアフは安定した生活に憧れ、遂に結婚して子供を産んで工場で働き始めるが、ある日、やっぱりストリートへ戻ってしまう。そこで“スズメのように”という歌を歌うこのシーン。これを僕は高校3年の終わりに見てしまう。当時は音楽関係という事で、ギターを作る人になろうとしていたが、このシーンを見て「ああ、やっぱり“関係”じゃダメなんだ。弾かなきゃダメなんだ。」と気付いてしまった。そしてプロギターリストの道を歩き始めることになる。そんな僕にとって重要な映画を40年ぶりに見ることができたのだ。

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ああ、やっぱり気持ち悪い。
次は来年の話でもして、鬼を笑わせることにするか!