<意識>とは何だろうか(A-8) | 松野哲也の「がんは誰が治すのか」

松野哲也の「がんは誰が治すのか」

治癒のしくみと 脳の働き

 私たちが直感的判断において「錯誤」を犯す問題群は、数学や論理学の問題とは、本質的な意味あいにおいて異なります。

 

 

 規則的で構造的な錯誤の実例は、私たちが知らず知らずのうちに採用している、現実的な解法の存在を示すのです。

これを「直感的な推論過程」と言い換えることもできるでしょう。

 どうやら私たちは日常的に数学的・論理的な解法とは別の ヒューリスティック (直感的で暗黙の裡に用いる簡便な解法)を駆使して意思決定をしているように思われます。

 私たちの思考は、合理的・非合理的 あるいは感情的であるかないか、という2分法では割り切れません。

ですから、人の判断過程は規範的モデルではなく、記述的・認知モデルによって理解可能となるのです。

 

 

 

 私たちの知性はレンマ的なものです。ロゴス的知性が 直感、閃き、無意識、感情移入といった非論理的意識で裏打ちされています。もっとも私のレンマ的知性は情感が乏しいといった意味で低いように思われますが。

 

 AIやコンピュータは、ヒトよりはるかに優れたロゴス的知性で作動するいのちをもたない疑似的機械です。

 

 

 今まで、私たちの心の深層で間断なくはたらいている認知機能の特徴について簡単に触れましたが、それは、人間に特有な「内在的・本質的な錯誤」の実態を少しでも明らかにしたかったためです。

 

 

 

 これからは、ヒトをヒトたらしめている精神の特徴や、状況、身体、認知の相互作用からさまざまな心的な現象が立ち上がる現象を捉えたてみるつもりです。

 さらに、できれば、私たちの心と身体と世界との関係について、無意識、時間、記憶、進化といった面からも考察を加えてみたいと思います。