<意識>とは何だろうか (A-17) | 松野哲也の「がんは誰が治すのか」

松野哲也の「がんは誰が治すのか」

治癒のしくみと 脳の働き

 私たちの多くは、原因があるから結果がある、すなわちこの世界には因果律があると思って生きているようです。

 局所実在論に立つアインシュタインにとっても「量子もつれ」はspooky (気味が悪い)で嫌悪すべきものでした。一緒の軌道を回っていて引き離された2つの電子はどんなに引き離されようと瞬時に光速(光子は太陽から地球までは約8分、月から地球までは約1.5秒かかって移動する)よりも早く瞬時にテレパシーをもったかのように情報交換するのですから。

 この現象はユングの言うシンクロ二シティ(スピンの発見者パウリも関与)とも関連性を持ちます。

 

 1982年、アラン・アスペは オルセーにあるパリ大学で、臨機に設定変更できる高性能の測定装置に加え、レーザー発振器や偏光器、非k理ファイバーケーブルを活用して量子もつれの非局在性を裏付ける統計データを示しました。

 

 

 量子力学には「状態の重ね合わせ」といった人間世界の因果律に背く概念があります。

「量子もつれ」もその1つです。ニュートリノとは違って電子や光子はヴォルフガング・パウリが提唱したコマの回転のようなスピンをもってます。

 

 量子もつれをの実験対象には4つの電子をもつヘリウム原子よりも光子(光の粒子)のほうがすぐれています。

光子のスピン状態は、左巻きと右巻きという2つの偏光状態として表現できます。ねじに左ねじと右ねじがあるようなもので、それぞれ、特定の軸に対する「アップ」と「ダウン」に相当します。

 量子もつれにある光子対は、2つの状態が等しく重なり合った状態にあるのです。

その光子対を偏光させると、特定方向に対して左巻きと右巻き、すなわち直交関係にある2つの偏光に分けることができます。偏光を得るのは非常に簡単です。ー 偏光サングラスをかけるだけで、光の強度は半分に低下します。

 

 2017年には ウイーン大学の アントン・ツァィリンガーのグループが 2つの望遠鏡をそれぞれ 1.6 Kメートル以上離れた場所に設置し、異なる恒星の光を観測。それぞれの光から検出される色波長 ー赤と青に相当するものー と、偏光器の設定を連動させ、光の測定を行った。

 きわめて離れた2つの天体から数百年前に発せられた光を活用するため、観測者の選択の自由や実験環境が測定結果に介入する余地は全くなかった。はたして、事件は、ベルの不等式の破れていることを明確に示しました。

 

 その後、地球から数10億光年離れたクエーサーの光を使って再度測定が行われたが、結果は <意識>とは何だろうか (A-16C) (2024-03-21) に示したように同じでした。アインシュタインは間違っていたのです。

 

 

 

      量子もつれに奇怪な面など一切ない。

      解釈を試みる哲学者が煙幕を張っているだけだ。

               ー フリーマン・ダイソン