今回の小話は、先日、バスで指宿から空港に向かっていた時の出来事です。
バスを運転をしていたのは、高齢に差し掛かる雰囲気の運転手さんでした。
とても丁寧な運転をしていました。
ある停留所での事です。
停留所には椅子があり、おばあちゃんが座っていました。
そのおばあちゃんは、空港に行く雰囲気ではなかったのですが…
停留所にバスが停まると、 ドアを開けて運転手さんが大きな声で3回「空港行きです」と声をかけました。
しかし、おばあちゃんは全く動こうとしません。
普通ならこのまま出発してもおかしくない状況なのですが、運転手さんは、バスから降りておばあちゃんの側に行き、耳元で「空港行きです」と大きな声で伝えました。
そこで初めて、おばあちゃんは「違います」と運転手さんに伝え、運転手さんは運転席に戻ってバスを発車させました。
大都会では考えられない光景でしたが、見ているうちに優しい気持ちになりました。
少し前の日本の地方では、このようなやり取りは当たり前だったのではないでしょうか。
自分のことより他人を思いやる。
おばあちゃんは、耳が遠くて気がついていないのではないかという運転手さんの気遣い。
それを文句も言わずに眺めている乗客。
今からでも、みんなで気をつければ、このような日本に戻れるような気がします。
幸せな日常生活です。