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精神科医 斎藤学のコラム

来る9月11日(日)、「第11回日本家族と子どもセラピスト学会公開講座」を開催します。

テーマは「ジェンダーと性行動」です。

当日は、午前中は私の講演、午後からは内田春菊さんも加わっての対談とディスカッションの予定です。
ふるってご参加ください。

詳しくは、IFFのホームページをご覧ください。

以下は、講演の概要についてのコメントです。

 人は対象愛からの「すり替え充足」としてさまざまな形のアディクションを選ぶ。「すり替え充足」とは真の欲求や渇望を、あり合わせのもので間に合わすことを言う。あり合わせのものとは、例えば、アルコール・カフェイン等の薬物、ギャンブル、ショッピング、過食嘔吐、窃盗などである。当然ながら性器を使う自慰も「すり替え充足行動」である。また、恋愛や共依存と呼ばれる陶酔的人間関係もこれに含まれる。
 「すり替え充足」という概念を用いると、日常生活の細部にもさまざまな性的表現が隠されていることが見えてくる。
 男性器が外部に露出してわかりやすいのにひきかえ、女性の方は曖昧なので、性感覚は身体全般に広がり、男性の場合より象徴化され隠喩化され洗練されている。その結果、体形を整える、衣装を選ぶといった身体に関わる行為にはすべて性的メタファーが関与することになる。また、口紅をはじめとする化粧品やコスチュームの工夫なども、それ自体がある種の性行為である。
 このように考えることによって、ショッピング(買い物)・アディクションが圧倒的に女性に多いことの説明がつく。要するに、性的自慰とショッピング・アディクションとの間に明確な差異をもうけようとは思わない。
 この機会に、ジェンダーとアディクション、性行動のかかわりについて考えてみたい。
(斎藤学)