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先週の日曜日、引退してから初の「試合観戦」に行ってまいりました。
それは、日本武道館でのJDC「アジアオープン」。
アートホールの講師仲間である藤島先生、大田先生といっしょに、朝イチの新幹線に乗って東京に向かいました。



アジアオープンは日本での開催ながら、WDCの世界トップ選手が勢ぞろいするビッグコンペ。高額の賞金が用意され、毎年ブラックプールのファイナリストがこぞって参加しています。
会場は、聖地・日本武道館。
あ~あ、武道館で踊るの、二年前の日本インターが最後になっちゃったなあ。



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しかし、アジアオープンは長年、参加のむずかしいコンペではありました。
一番の問題は主催がJDC、他団体のコンペであるということ。
そのため、財団本部からストップがかかっており、過去、それを破って出場した選手にはペナルティが下されたこともあったそうです。
近年になってほんの少しずつ門戸が開かれつつありましたが、それでも、JBDFの全日本ファイナリストだけOKみたいな、ものすごい狭き門でした。



それが昨年の日本インターボイコット事件をきっかけにして、JBDF本部というのは急速に力を失っていき、我々は「JBDC」という新しい名前で昨年の統一戦や、このアジアオープンにも参加できるようになりました。
そして今後、アジアオープンのみならず、三団体のビッグコンペにお互いの選手が自由に参加できるようになる、という流れが出来つつあるようです。



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20年前にJBDF、JDC、JCFの3つに分裂したプロ団体は、長い対立の時を経て、いきなり合併とまでは無理にしても、横並びの提携という感じで手と手を合わせて協力する。そんな新しい時代へと移り変わってきています。
今まさに、日本のダンス界は時代の変わり目にいるようです。
だからこそ、ぜひこのアジアオープンをこの目で見届けたいと思って、上京いたしました。



ちなみに「アジアオープン部門」(世界中の選手が参加)のほうには私たちのJBDCから、選抜された上位24組のみが出場可。
アジア選手のみ出場できる「アジアクローズ部門」には、参加したい選手は全員、制限なしで出場可能。
JBDCの選手はそれぞれ、両方に出る選手、アジアクローズだけの選手、アジアクローズをパスしてオープンのみに賭ける選手と、様々でした。



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さて、2年ぶりに武道館を訪れ、一緒に戦ってきた西部の選手がそこで戦う姿を見て、胸に沸き起こる感情というのは、嫉妬でも郷愁でもなく、まったくもって純粋に「みんな頑張れ~」と。そういう感じでした。



西部からはアジアオープンのボールルームに8組ほど。クローズドには20組ほどでしょうか。
出場選手が多すぎて、スーパージャパンカップのように二面に区切られ狭くなったフロアを、縦横無尽に踊りぬけていく西部選手の姿に、なんだか胸が熱くなりました。
ああー、やっぱりみんな上手いよなあ、すごい頑張ってるなあ。僕、よくこんな中で長年闘ってこられたもんだ(笑)



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だけど正直、大勢のアジア人選手が踊っている中で、
「あ、あの人上手いな。誰だろう?」
と目に留まった背番号をパンフで確認してみると、これが高い確率で、韓国人か、中国人なのです。
中国と韓国の選手はおしなべて、ガタイが良く、何をしてもまっすぐに見えて、芯が強くて、しかも軽い。いったい何が違うからそう見えるのか。



アジアオープンはまさにブラックプールのファイナリストが勢ぞろいし、1位アルナス、2位ビクター、3位アンドレア…と、いつもの世界ファイナルメンバーのいつもの順位でした。
そんな中、西部の橋本組がみごと準決勝入りを果たしました。



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アジアクローズでは、JBDCの選手も健闘しましたが、結局ファイナルに上がったのは中国・台湾・韓国が計4組。そして日本人はJDCが3組でした。
西部からは清水組が準決勝入りでしたが、JBDCからは決勝には誰も行けず。



見てて面白い素晴らしい大会で、丸一日があっという間でしたが、さて、個人的にはちょっと複雑な想いがよぎります。



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今回、JBDCの選手の多くは、純粋な世界への挑戦心とともに、「様子見」の気持ちも多少なりとも入っていたと思います。他団体の試合に出て、本当に大丈夫か。ちゃんと自分は公平に審査されるのか。
選手は単に外人トップといっしょに踊りたいというミーハー気分で出るのではありません。ただひたすら、公平に審査されたい。公平に評価されたい。そういう試合に出たいだけです。その中でもちろん高い評価を得たいし、成績が悪くても公平に見られたと思えば、悔しいけどまだ納得できるものです。



まあ、無いとは思いますが、もし万が一、日本人の審査員で、ほかの外人ジャッジがこぞって一位をつけているような優勝候補に対しあからさまに悪い点をつけ、自分の所属する団体の日本人選手に自分だけが一位を入れているような審査員が、もしいたとしたら、そんな人の存在こそが、「三団体が協力してビッグコンペを開催し、選手が自由に他団体のコンペにもチャレンジできるようになる」という、今回開きかけた日本ダンス界の未来への扉にとって、一番の障害になってしまうに違いありません。



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なぜなら、そんな審査員ばかりだと、選手がほんとうにやる気をなくしてしまうからです。
今はインターネットの時代です。ダンスファン・ダンスビュウ誌に載る決勝のメンバーや順位だけでなく、選手もファンの皆さんも、インターネットで誰がどの選手に何点入れたか、皆、調べることができます。
いないとは思いますが、そういうあからさまに偏った審査をする審査員ばかりだと、選手には、危険を冒してまで他団体のコンペに出るメリットがなくなり、やる気もなくなり、出場選手がもとのもくあみに減ってしまうだけでしょう。



他団体のコンペに自由に出られるようになる、この自由とは、自由競争という意味でもあります。市場原理の神の見えざる手にしたがって、人気のないコンペ、魅力の少ないコンペ、審査が公平ではないとみなされたコンペは、今後淘汰される可能性だってあるということです。そういった意味でも、新しい時代の幕開けなのです。
ほんとうに今が「変わる」最後の、最大のチャンスではないでしょうか。今年そして来年以降も、日本のダンス競技会がより白熱したものに変わっていくことを、願ってやみません。



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