土曜日の朝。
マンション解約し、レッスンまでの数時間。大阪最後の自由時間。
ずっと行きたかった、大阪港の恐竜博へ行って来ました。
片山は実は、子どもの頃の夢は、古生物学者でした。
恐竜大好きっ子です。
今でも。
さて、ここからは進化論に交えたダンス論。
ダンスを長年学んでいると、いま上達した!と感じたのは無理やり派手なことができるようになった瞬間よりも、同じことが無理無駄なくできるようになった瞬間が多かったと思います。
人間の身体は社交ダンスをするために生まれて来たのかと信じたくなるほど、関節や体重などの元々備わっているものを合理的に使うやり方が存在し、それを発見する楽しさがあり、それはまるで地中から貴重な化石を掘り出した学者の気分でした。
生物の身体は、生きる手段や特徴は様々なれど、自身が生き残るための機能を無駄なく進化させた結果です。
その証拠に私たちは本能的に、シンプルで機能的で均整のとれたものを「美しい」と感じたり、派手な装飾も何かしらの意図をもってまとめられていたらセンス良く感じたり、反対に無駄にゴテゴテしたものや、いびつなものには、違和感を感じます。
「不自然」というマイナス評価を下す言葉があります。じゃあ自然って何なのか。なぜ不自然であることがマイナスなのか。
つまり、何かしらの自然の摂理、自然の法則に則ったものに見えるのかどうか、というのが、我々人間、いやあらゆる生命のDNAが持っている共通の価値観ではないかと思うのです。
恐竜の復元もそうです。
上の写真のスピノサウルスは、しばらく前までティラノサウルスのように二足歩行だと思われていました。映画ジュラシックパーク3でも、そのような姿で描かれ大暴れでした。
しかしそれだと、後足の位置に対して、上半身側のほうが頭は長いし、巨大な背ビレもある。どう考えても重心が前バランスすぎて、後ろ足だけでは支えられない。
なので、これは四足歩行だったのではという最新の学説で復元された姿が、今回の目玉でした。
また、ティラノサウルスは昔は、もっとゴジラのように直立歩行で、尻尾を引きずった姿でした。
今は身体を水平にし、頭と尻尾で前後に均等にバランスをとって走る姿です。
この方が颯爽としてカッコよく、動きも速そうに感じますし、理屈だけでなく生理的にも直感的にも納得行くものになっている気がしてきます。
ダンスもそうで、正しい姿勢は正しい形だから正しいのではなく、美しい姿勢というのはバランス良く、そこからなんでも自由に動けそうな姿勢になっているのが正しいのです。そしてそういう姿勢が潜在意識で美しいと感じるのです。
競技ダンサーは競技会のフロアという弱肉強食の世界で、ある者は身体が大きくて有利だったり、ある者は身体が小さくても生き残れる武器があったり、そんな終わりなき進化の競争をしているようなものだと常々思っています。
環境が安定し、なおかつ競争が激しいほど、その中からティラノサウルスの様な究極のチャンピオンが誕生するのです。
反対に、ダンス業界が細分化すれば、どんな理想や理念があってもそれはガラパゴス化に陥りやすい可能性を認識しなくてはならないと思います。
どちらにしろ繁栄の後に滅亡をしないように、変化に柔軟に対応して皆さん今後も頑張って行って欲しいと思います。恐竜だって羽を獲得して鳥になったのですから。
古生物学の研究は、19世紀からスタートして現代までたくさんの学者の方が、様々な新発見を積み重ねて今日まで発展してきたものです。
ダンスも同じです。
ついでに言うなら今度行く果樹園もですね。
私がダンスの世界でできることは、もうやり尽くしたような気がしましたので、ちょうど身を引きましたが、これからも後の世の誰かのために、ダンス業界がずっと続くことを願っております。
皆さま、末長くダンスを楽しんでくださいね。
…って、あーしかし、恐竜化石ってなんて美しいの!
以上、通りすがりのマニアでした。