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先週末は、「昭和新山国際雪合戦大会」のお手伝いに行ってきました。
町内総出で裏方仕事です。くだもの村の担当が、軽トラで荷物の運搬や、当日のグッズ売り場の店番でしたので、他の果樹園の園主さんたちといっしょに二日間、がんばって働いてきました。



さてこの大会は、誰もが子どもの頃遊んだことがある「雪合戦」を、本気のスポーツ化したものです。
私も話には聞いてはいましたが、見るのは今回が初めてでした。



会場となる昭和新山のふもとの特設会場には、全国各地から多数のチームや観客の方が集まり、大変な賑わいでした。
雪合戦の聖地とされるのが、ここ壮瞥、昭和新山なのです。



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およそ30年前、壮瞥町では冬場の観光客が夏に比べて激減するため、何とかならないかと町じゅうの皆さんが集まり、まちおこしイベントとして生み出されたのがこの「スポーツ雪合戦」だそうです。



実は義父もこのプロジェクトの中心の一人だったとか。
世界に広めるために、海外にも行ったりしたそうです。



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出場選手は7人。監督1と補欠2人を加えて1チーム10人構成です。
コート上に設置されたバリケードに身を隠しながら雪玉を投げ合い、ドッヂボールみたいに「当たったら一発退場」。



時間内に相手チームの人数を減らしあって、多いほうが勝ちですが、もしくは、雪玉をかいくぐって相手陣地の「旗」を奪取すれば一発勝利にもなります。



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雪玉は、その場で自分の手で握ったフンワリしたものではありません。
使える雪玉は、試合前に作ったものだけで、数も決まってます。
タコ焼き器みたいな専門の機械に雪を詰め込み、この上に乗って全体重をかけ、雪を押し固めて作ります。
まさに「硬球」です。



これを、野球並みの豪速球で人に向かって投げ合うわけです。
選手は皆、アメフトのようなヘルメットで武装しています。時にはアイシールドが割れることもあるとか。



雪合戦というほのぼのした名前のイメージに騙されないでください。これは完全に、雪上の格闘技です。



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また、ただやみくもに力いっぱい投げ合うのではなく、チーム内でそれぞれ、前線に攻め入る役、後方から狙撃するスナイパー役、最後尾から前線へ球を補給する役…など役割分担を明確にし、声を出し合って連携し、攻めていきます。
相当、チームワークと作戦力の必要なスポーツです。



雪合戦の専門誌も発行され、戦術研究もさかんに行われているようで、最新号は飛ぶように売れていきました。



記念Tシャツもものすごい売れ行きで、1日目の午前中だけで、ほぼ完売に。
何せ、出場チームだけでなく、観戦に来られた方も、どんどん買っていかれるのです。それだけ、北国には「雪合戦熱」があり人々を熱中させているということでしょうか。
そう感じるほど、グッズ売り場は、なかなかの忙しさでした。



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この大会がスタートした頃、最初は「全員白衣のお医者さんチーム」「冬なのに赤ふんどしのチーム」など、楽しみ目的の参加も多かったそうです。



しかし今ではJALやサッポロビールなど大口のスポンサーもつき、社会人、実業団や、大学の雪合戦部、駒大苫小牧野球部OBチームなど常連チームがたくさん生まれ、日本一を決める本格的なスポーツ大会として根付いている感じです。



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有名チームや、前回優勝チームの試合には人だかりができるほど。
私も2日目にようやく観戦できましたが、確かにこれは凄い。球の速さ、選手の動きの速さ、連携プレーの見事さ。



もしテレビでやったとしても分かりにくいかも。真っ白だし、普通の球技のようにボール一つ追えばいいわけじゃないですから。
これはぜひ生で見ていただきたいものです。競技ダンスも生で見るのとビデオで見るのが全然違うように。



ある試合のラストの攻防。
残り10秒を合図に、奥のチームが捨て身で総攻撃をかけ、フラッグを奪取します。







そして何より驚いたこと…
雪合戦が始まった約30年前というのは、バブル経済で国から「ふるさと創生一億円」が全国にバラまかれたような時代です。
天から降ってきた一億円で、ある自治体は話題集めのため一億円の金塊を買い、またある自治体は日本一を謳った立派なハコモノを作り、結局失敗したところというのも多かったように思います。



私の故郷の岩国は、うろ覚えですが、市内の高校生から希望者を選抜し、夏休みにアメリカ西海岸の姉妹都市へ留学生として送り出すという事業のために、一億円をあてていたように記憶しています。
うーん、実に岩国らしい真面目な使い方です。今も続いているのかな…?



この壮瞥町の雪合戦に、ふるさと創生資金が使われたかどうかは知りませんが、とにかくそのように、町おこしがブームになったのと大体同じくらいの時代に作られたものではと思います。



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その時代に考え出された町おこしの多くは、バブル崩壊とともにほとんど消えてしまいましたが、この雪合戦は今も脈々と続いている。
これは、凄いことだと思います。



大会は1日目が予選、2日目が決勝と2日間の日程で行われますから、たくさんの選手の方や、応援の家族の方、観光客の方が、遠方から泊りがけで壮瞥を訪れ、近隣の温泉宿をいっぱいにされる。
経済効果も、相当のものがあるでしょう。



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くだもの村だけじゃなく。
町の婦人部はおもてなしの鍋料理を。
町の信金さんはお金の管理を。
町役場の公務員さんも役場を閉めて、総出でお手伝い。
町長さんも直々に、会場を訪れて激励を。



夜はレセプションで出場選手の皆さんに、ジンギスカンが食べ放題だそうです。
もちろん、肉は地元の肉屋さんが提供。



町民皆で、まさに一丸となって「お・も・て・な・し」を実践しているのです。



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それに、常連チームがたくさん結成されていたり、大学の雪合戦部があったりするという意味は、そこには六大学野球や箱根駅伝、はたまた競技ダンスの学生全日本、そういうものと変わらない熱量で、雪合戦を選び、真剣に取り組む若者がいるのです。



青春の全部を賭けて雪合戦をやる、なんて言葉にすると「?」と思われるかもしれませんが、青春の全部を賭けてダンスをやってたのと何ら変わることのない、そういう熱い世界が存在しており、しかもそれが一過性ではなく、すでに文化になって、これからも脈々と続いていくのです。



そしてそれを生み出したのが、町おこしだというのも凄いし、同じ町おこしでも行政主導ではなく、町民でアイデアを出し、力を合わせて作り出したというのも凄い。
そして義父がその一人だったなんて。



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とてもいい「気」を頂き、また、くだもの村の園主の皆さまとも、今回を機に親しくさせて頂きました。
大会終了後の撤収作業は大変でしたが、その後の打ち上げも楽しく飲み明かしました。



ところが。
後日、その打ち上げに参加していたメンバーが、次々寝込んでしまわれたという情報が耳に入り。
まさかと思っていましたが、私も水曜日くらいから「風邪かな?」と思える症状が出始めて。



病院に行ったら、ビンゴ。
インフルエンザでした。
こんなことまで団結力発揮しなくていいのに。



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大阪でワクチンを打っていたので、かからないと思って油断していましたが。
かからないんじゃなくて、軽くて済むという程度なんですね。



熱はほとんど無く、症状は軽いのですが、ウイルス持ちなのは変わりなく。



娘の初節句は、隔離状態のまま。
残念無念です。



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雪合戦もひな祭りも。
また来年。
楽しみにしてます。