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好天に恵まれたGWは、連日4時起き。
風の少ない早朝に、ぶどうのビニールハウスの屋根をかける作業を、近所の果樹園さんがみな協力しあって、順番に行いました。
 
 
 
だいたい1日につき果樹園さん2件ずつ。
園地によりサイズは違いますが、長さ30〜100メートルはあろう巨大なビニールを鉄骨の上に持ち上げ、広げ、飛ばされないように留めて行きます。
 
 
 
浜田園は5日に終了。
高所作業ですし、何かあったら他の果樹園さんに迷惑がかかるので、それまでは連日気の抜けない毎日でした。
 
 
 
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さてそんな最中、大学時代の後輩の訃報が届きました。
ダンス部ではなく、政策科学部の後輩です。
 
 
 
卒業以来疎遠になっていましたが、数年前再会したとき、彼は癌で闘病中の身になっていました。
その後はネット上でやりとりはありましたが、何度か入院したり退院したり…。
 
 
 
大丈夫かなと気にしつつ、自分のことに無我夢中でしたが、GWのさなか、たくさんの友人や先輩後輩から、「〇〇君が旅立ってしまった」と連絡を頂きました。
 
 
 
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立命政策はオリターと言って、上回生の有志が新入生の基礎演習クラスの運営のサポートをする、という制度がありました。副担任みたいなものです。
 
 
 
私も2回生のときにオリターをやっていました。新入生のときにクラスの委員長に選ばれ、なかなか運営に苦労したときに、先輩のオリターさんに助けて頂いたので、その恩返しと思って志願しました。
ダンス部と掛け持ちなので、なかなか大変でしたが…。
 
 
 
そうやって迎えた新入生。私が担当したクラスは、今の日本にこんな若者がいるのと驚くくらい、皆ポジティブで明るくて、とにかく素晴らしいメンバーで…。
何かやるとなれば皆で協力し、問題があれば皆で話し合い、本当にこちらの助けなんかいらない、むしろこちらが関心させられるばかりの、素晴らしい学生の集まりでした。
 
 
 
そのクラスの中心メンバーの一人が、彼でした。
 
 
 
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葬儀は京都で6日。何とかハウスが終わったから大丈夫。しかしGW終盤なので北海道からの飛行機はどれも満席でした。
これは葬儀に行くことは不可能、残念だけどお花だけ送らせて頂こう…
 
 
 
そう思いましたが、当時、「右京さん、右京さん(当時のあだ名です。)」と、ずいぶん慕ってもらったなあと。
思い出すのは、彼の笑顔ばかりなのです。
 
 
 
私が2回生の夏からダンス部でレギュラー入りし、全日本にも出るようになり、練習時間を確保するためにバイト(ホテルの夜勤フロント業務でした)を辞めることになったとき、誰か後任をと言われて、推薦したのも彼でした。
彼は卒業まで立派に勤め上げたそうです。
 
 
 
また、彼がある企業のインターンシップでイベントを手掛けることになったとき、できた企画がダンスをフィーチャーしたものだったため、何度も助言を求められたことも。
そんなことも思い出したり。
 
 
 
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ふと、「陸路なら行けるんじゃね?」と思いつき、調べてみると、新函館北斗から新幹線を乗り継いだら、なんとか今日中に京都まで着ける!
そうなると居ても立ってもいられず、お休みを頂き、急いで荷物をまとめて、函館行きの特急に飛び乗ったのです。
 
 
 
話題の新函館北斗から、北海道新幹線に乗り込み、一路東京へ5時間半。GWで満席のため立ったまま。脚はしんどいけど、彼はもっとしんどかったのだ。
初の青函トンネル越えが、まさかこんな事になるとは思ってもみなかった。
 
 
 
広い広い東北をただひたすらひた走り、夕陽の射し込む東京駅から、こんどは馴染みののぞみ号に乗り換え。
懐かしい京都に着いたのは夜の9時。すいません、こんなに早く関西に戻るとは思いませんでした。
 
 
 
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急いでお通夜へと思うのですが、斎場はここから在来線に乗り換え、奈良に向かってさらに1時間。
駅を降りたときには、とっぷり夜更け。
 
 
 
ちょうど、かつて担当した基礎演習クラスのメンバーから連絡があり、お通夜帰りで食事中とのこと。
さすがに遅いからご家族に迷惑かかると止められ、彼に会うのは明日の朝にすることに。
 
 
 
しかし、クラスのみんな、変わってないなあ。大学一回生のときのクラスメイトがその後も、卒業しても団結してるなんて、なかなかあるもんじゃない。素晴らしいよ。
 
 
 
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翌朝、早起きしてあらためて斎場に向かい、ゆっくり彼とお会いしてきました。
立派に戦い抜いた、漢の顔でした。
 
 
 
BGWとして彼の好きな「スターウォーズのテーマ」が流れ、まるで壮大な物語のエンディングのようでした。
斎場の入り口には、いっぱいの家族写真が飾られ、葬儀というよりは卒業式、卒業写真のようでした。それがまた涙を誘いました。
 
 
 
病気がわかってから彼は家族のためにたくさんの思い出を作ろうと、辛い治療の合間に皆で旅行に行ったり、さまざまな企画を立てたり…。
病の苦しみを微塵も見せないように、残された家族が悲しまないように、全力で頑張っていた様子が伝わり、本当に胸を打ちました。
 
 
 
また、彼は病気がわかってから、自分がどんな治療をしたか、どんなタイミングでどんな投薬を受けたか、その闘病記をすべてブログに書き、同じ病に苦しむ方のためにと、克明な記録として残していました。
このブログの存在は、私もそうですが、今回初めて知ったという方も多かったです。彼がどこまでも常に他人のことを考えていたか。常に絶対に治すんだという意思を持っていたか。
 
 
 
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驚いたのは奥様やご両親にご挨拶させて頂いたとき。
初対面なのに、私が名乗ると、「ああ、あの!」という反応なのです。
 
 
 
実は彼のご両親、アマチュア競技ダンサーだそうです。
全然知らなかった。いや、それこそ大学生のときに聞いたような気がしますが、はるか昔のことですっかり忘れていました。
 
 
 
でも、衝撃でした。自分がダンスを長年頑張ってきたことは、自分の気がつかないところでつながっていたんだ。
 
 
 
目の前に見える成績、評価、評判が全てではない。例えばこんなふうに彼にとって「自分の先輩がプロで頑張っている」ことが、ご家族の話題のひとつとなっていたように、とにかく何か自分の人生を頑張り続けるということは、遠く離れたどこかの誰かを元気づけてたり、誇りになったりしていることだってあるんだ。
 
 
 
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告別式には、まさに会場に入りきらないほどの参列者が。
いかに彼が家族を愛し、友達を大切にし、仕事に全力を尽くしていたのか。
しかも、最後は病身でありながら。



もし自分が同じ境遇になったとき、絶望したり取り乱したりせず、最後まで常に冷静であり、他人のことを考え、そして何が何でも治すんだという気力を持ち続けただろうか。
良い格言を友人に教えてもらいました。「あなたが無駄に過ごした今日という日は、昨日亡くなった誰かが懸命に生きたいと願った一日だ。」
 
 
 
Beyond borders。
限界を超えろ。
立命館大学のスローガン。
私も自分の限界を超えて、自分の家族を大切にし、友人を大切にし、一日一日を大切にし、仕事も一生懸命頑張っていこうと思いました。それで彼の魂を少しでも受け継ぐことになればと願います。
 
 
 
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さて、帰り道、不思議なことが起こりました。
来た時と同じ陸路だと、今日中に自宅まで帰れないということにようやく気がつき、慌ててネット検索したら、奇跡的に夕方の飛行機が一席取れました。
出棺を見送ったあと、急いで関空へ。
 
 
 
ついこの間まで自分の庭だった、なんばの地下道を駆け足で通り過ぎ、大階段を上がり、南海ラピートに飛び乗りました。
車窓からは、懐かしいYMが。
すいません、今回ダンス関係の方には誰にも会えずじまいです。
 
 
 
そうやって飛び立った関空発札幌行き。
もう、何度も乗ったおなじみの路線。
いつもなら、大阪城の真上を東に通過し、奈良市から伊勢湾へ抜けるのが、定番ルート。
 
 
 
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しかしなぜか、この日は違いました。
飛行機は淀川に沿って、京都方面へ。
そして、茨木市…立命政策が、移転して今ある場所です…辺りで一転、東へ進路を取ります。
 
 
 
窓の外に広がるのは、まさに今日、彼が煙になってお空に上がっていったであろう町でした。
何ということでしょう。
 
 
 
映画「スターウォーズ」で、ジェダイ・マスターのヨーダが、念ずるだけで巨大な飛行機を動かすシーンがあります。
ああそうか、彼の魂は不滅のフォースになったんだ。そうやって、君は、自分の家族を永遠に見守り続けるつもりなんだね。