⚫️河地良智指揮メンデルスゾーンの「讃歌」、コルボの「ドイツ・レクイエム」 2018.01.07. | yukkieのブログ

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 昨秋、東京でメンデルスゾーンの交響曲第2番「讃歌」の名演を聞きました。プログラム前半はベートーヴェンの合唱幻想曲、後半はメンデルスゾーンです。長い演奏会となりました。


 


 ベートーヴェンの合唱幻想曲は、ナマで聞くのは2回目。大変申し訳ないのだけれど、この曲はやはりくだらないというか、合唱付きのピアノ協奏曲という変な編成もしっくりこないし、メロディも魅力無く、何よりベートーヴェンらしい生きる魂や荘厳さの無い残念な曲です。


 


 それに対して、メンデルスゾーンの素晴らしいこと。指揮は私淑する河地良智先生。オケと合唱は在京のプロを集めたものらしいです。前半のシンフォニアも見事だったのですが、後半の合唱付きの讃歌の部分は実に深く壮大で、改めてこの曲の素晴らしさに感動し、演奏の見事さにも感心したものです。


 


 河地先生から「合唱作品ならコルボという指揮者が素晴らしいよ」と教えていただきました。


 


 ミシェル・コルボは私にとっては懐かしい名前です。1970年代にフォーレのレクイエムのLPを散々聞きました。この曲は当時、クリュイタンスの指揮とコルボの指揮で評価が分かれていましたが、クリュイタンスのは甘く切ないのが魅力ですがよく聞くとオケと合唱の荒いのが目立ちます。それに比べるとコルボは地味で目立たないものの、まるで中世の教会音楽を聴いているような静謐でていねいな演奏が魅力的でした。また後年出たデュリフレのレクイエムも名演でした。


 


 しばらく忘れていた名前でした。私は合唱作品が嫌いでないものの、最近の音楽傾向はオケとオペラと弦楽四重奏に偏っていて、ここ20年ほどは合唱作品を真面目に聞いていないかもしれません(バッハのマタイ受難曲とロ短調ミサだけは例外です)。


 


 さて、懐かしい名前に出会ったところで家にあるはずのLPを探してみましたが、どこにいったのか分からない始末。新しく別なコルボを聞いてみようと思いネットで調べましたが、21世紀になってからは新録音も出てないようです。生没も不明。生きていれば83歳でしょうか。


 


 20世紀終わりごろの録音で、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」のCDを見つけたので購入しました。聞いてみて、静謐さというよりはその徹底的なまろやかさに新鮮な感動を覚えました。


 


 「ドイツ・レクイエム」は好きな曲です。古くはカラヤン(1947年)とショルティで親しみました。最近の演奏ではカラヤン最後の1987年頃の演奏が気迫と哀切に満ちた演奏で好きでした。しかしコルボの演奏を聞くと、カラヤンにしてもショルティにしても、合唱作品というよりはドイツ風のがっちりとした交響作品として表現されていたのだなあと思います。


 


 コルボの演奏はオケはかなり後ろに下がり、合唱が前面に出てきます。しかし彼らしく押し付けがましいところのまったくない合唱です。優しく語りかけてくれるような歌に、目が開かれる思いがします。こんなドイツ・レクイエムもあったのだなあと。


 


 コルボ、今の人にはまったく忘れられているのでしょう。CDもほとんど無いのが残念です。たぶん今後、その名声は復活してくるとは思いますが、意外なところでのコルボの演奏と私との再会を、今は素直に感謝しています。


 


 


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