今回の神戸地方裁判所姫路支部における国家賠償請求事件は結審し、判決が出たようである。大筋としては、裁判官が職権を乱用して調書を捏造・改ざんすることは許されないことだとするものの、証拠不十分ということで棄却となったようである。いくら良識のある裁判官と言えども、調停中の音声の録音に証拠能力があるとはなかなかできないため、判決文には苦渋の言葉が垣間見える。

もっとも重要な争点であった「裁判官のメモ」であるが、これについて判決文は明言はしていないものの、許されざる行為といった趣きの文意も読み取れる。裁判官のメモ書きを証拠として扱うのは、調書作成を重要な職務とする書記官をないがしろにする行為である。このことに関しては期日において、書記官も頷く場面もあったようである。

今回は民事であり、問題はカネで解決できる。しかし刑事事件においては、最悪は死刑である。裁判官が所有するメモに虚偽の事実が書き込まれて、それが被告人を死刑に追いやるのであれば、それはまさしくデスノートである。今回の訴訟の対象となった女性裁判官は元検察官であり、再教育がなされていなかったことが推測される。日本の裁判所は決してそのような権利を暗黙で、とくに未熟な裁判官に与えてはならない。あくまでも調書は国から権限を与えられている、公正な書記官が作成するものである。

 

神戸家庭裁判所姫路支部にて平成28年3月の審判にてなされた決定は、本人訴訟による即時抗告となり、平成29年4月には決定が取り消しの判決がなされた。審判の決定が即時抗告で覆ることだけでも非常に珍しいのであるが、本人訴訟によって覆ることなど聞いたことがない。平たく言えば原審(神戸家庭裁判所姫路支部)の裁判官に、抗告人が勝ってしまったわけである。最高裁判所としては、自らの組織の恥部を認めるわけにはいかず、抗告人は最終的には敗訴したわけだが、この意義は非常に大きい。

 

これからは裁判官は、いつなん時も録音されていると思って、真摯に職務に向き合わなければならないだろう。平成28年3月に審判の決定を下した神戸家庭裁判所姫路支部の女性裁判官が犯した、メモ書きなどといった愚かしいねつ造行為などは厳に慎むべきである。書記官が作成する調書が意味をなさなくなる。裁判官が法を支配しているのではなく、法に支配される立場であることを肝に銘じるべきであろう。そうでなければいつまでたっても、日本は司法後進国と言われ続けるだろう。

 

なお平成28年3月25日の神戸家庭裁判所姫路支部における▼▼▼▼裁判官による審判の決定は、平成29年4月14日の抗告審で「原審判はその選択した遺産分割の方法が相当ではないから取消しを免れない。」等の文言で取り消しとなった。抗告審で原審が取り消されること自体たいへん珍しいことであるが、それも素人の本人訴訟で覆るという、前代未聞の珍事である。▼▼▼▼裁判官は抗告人に対して、「ご不満であればどうぞ抗告して下さい。」と、原審の審理終結前の期日で何度も嫌味を言ったとのこと。嫌味を浴びせた当事者に決定(判決)を覆されるとは、単に恥ずかしい裁判官と吐き捨てるだけでなく、これが日本の司法の実力かと嘆かわしく思う。