大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」が12月16日に最終回を迎えた。その一回前の週に、大山綱良(北村有起哉好演)が久しぶりに画面に登場した。牢の中だった。西郷の生涯は多かれ少なかれ日本人は知っているが、その周辺の人々の生涯はほとんど知られない。
明治維新後、初代県令(知事)になった大山は、若き時代は西郷や大久保利通と行動を共にし、戊辰戦争、維新と頭角を現した。西郷との関係は紆余曲折あるが、明治6年(1873年)に征韓論争から発展した政変で西郷らが新政府を辞職して鹿児島へ帰郷すると、西郷の私学校などを援助し、鹿児島県として新政府に租税を納めず、私学校組を県官吏に採用した。明治10年(1877年)に西郷が挙兵するや (西南戦争) 、官金を西郷軍に提供し、政府軍に逮捕され東京へ送還され、西郷軍の敗北後、長崎で斬首された。53歳だった。ちなみに西郷の享年は49歳である。
有名な西郷よりも、周辺に登場する人物の史実を追っていくことによって、明治維新、維新政府の正確な姿が理解できる面がある。その好例である。
斎藤浩