【オープンハウスヘルシンキ2022 その2】 | すまいのレシピ【すまレピ】 フィンランド便り

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2022年5月13日~15日の間に開催された「Open House Helsinki」

今回は、ティックリラ教会と住宅地区についてご紹介したいと思います。

 

ティックリラ(Tikkurila)は、ウーシマー県に属するヴァンター市にあり、ヘルシンキ中央駅からティックリラ駅まではVRで15分程、駅から徒歩で約5分の場所にあります。ティックリラ教会・住宅地区の建築デザインは、OOPEAA Office for Peripheral Architectureが行いました。2021年に竣工し、ミース・ファン・デル・ローエ賞の2022年ヨーロッパ現代建築賞の最終選考に残り、上位40の候補の中に入っています。

 

ティックリラ教会とヴェフカポル沿いにある住宅地区は、地域住民のさまざまなニーズに応えることができる多目的な複合施設となっています。

 

 

色とりどりのレンガの外壁の建物は、周囲の都市空間とつながり地域のアイデンティティとなっています。建物へは様々な方向から同時にアプローチでき、自由にアクセス可能な計画となっています。敷地の角に配置され鋭角にとがった教会は、三位一体を意味し建物内部の空間から導き出されいて非常に象徴的な形態となっています。そして、市庁舎に面した村の中心にある教会として、地域のコミュニティの一部としてのみではなくさまざまな活動のための場所を提供しています。教会ホールは建物の中心部にあり、光とコンクリート、木材の空間でさまざまな用途にフレキシブルに対応します。

 

 

また、ホールのほかには、カフェ、家族向けの小さなスペース、グループルーム、ミーティングやワークスペース、ロビー、中庭のチャーチガーデンなどを備えています。居住棟には、162戸の学生用アパートと61戸の賃貸アパートがあり、居住者が共同で利用するためのさまざまな施設を完備しています。

 

教会は、ティックリラ教区とヴァンダ・スヴェンスカ・フォーサムリングの母教会であり、ヴァンター教区の管理・共同教区業務も行っています。そして、学生用アパートはHOASが、賃貸アパートはVantaa教区の所有となっています。

 

近年改築されたショッピングセンターと一体になったティックリラ駅近くの比較的都会のエリアにある教会が、カフェやオフィスなどのコミュニティスペースと学生アパートや賃貸アパートの居住地区と一体に形成されていて、立体的でコンパクトな村を形成しているように感じました。落ち着きのあるレンガを用いた外観とは対照的に、内部は木材を多用した温かみのある空間となっていて、教会ホールはコンクリート打ち放しの仕上げに様々なサイズの窓から入る光が幻想的で非常に現代的な空間となっています。