生涯に7回もの国替えをさせられ、“引っ越し大名”とあだ名された実在の大名・
松平直矩(なおのり/1642-1695年)をモチーフにした土橋章宏原作の
小説『引っ越し大名三千里』の映画化と紹介されています。
小説『引っ越し大名三千里』 / モデルとなった松平直矩
正直を言えば、筆者は最近の日本映画からは随分と縁遠い身分なのですが
今回は、たまたま本作が録画されていたことと、それが幾分興味深い
タイトルになっていたことなどから、つい観賞することになったものです。
原作になった小説は未読ですので、以下の批評はあくまでも映画作品、つまり本作に
ついてのことになります。
本作についての世間の評判・評価についてはまったく存じませんが、もし好評を
得ているとするなら、ガックリの気分です。
まあ、分かりやすくてコミカルな映像になっていることは認めますが、その日常が
あまりに現代風でいささか辟易します。
たとえば、主人公の武士の髷頭。
少なくともお城務めをしている武士なら、現代サラリーマンがネクタイをするのと
同様に、髷はやっぱり整えているハズでは?
また「引っ越し荷物を減らすため」として、書物をボンボン焼却処分してしまう
行動は如何なものか。
錆の出た古鉄瓶でさえ売りに出すということなら、当時の書物はそれ以上に
価値があったと想像するからです。
ということで、筆者の「邦画無沙汰」は、また再開されそうな雲行きに
なりました。
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「引っ越し大名」 2019年 監督:犬童一心
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出演陣には、
星野源/高橋一生/及川光博/松重豊/西村まさ彦/濱田岳/高畑充希
などの名が挙がっていますが、いずれも現代風な人物像となっています。
監督は犬童一心とされていますが、邦画に疎い筆者はよく存じません。
蛇足になりますが、折角ですからモデルになった大名「松平直矩」に
ついても、ひとこと補足。
~五歳で家督を相続した直矩は、翌年に姫路から越後村上藩へ国替。
成人後には転封により姫路に復帰。
しかし、御家騒動に対する不手際を咎められて、領地を半分以下の7万石に
減封され、豊後国日田藩に国替。
さらに4年後には、3万石加増の上で出羽山形藩、それだけに留まらず
そのさらに6年後には5万石加増の上で陸奥国白河藩へ移され、格式の上では
従前の15万石に復帰したが、生涯で幾度も国替を重ねた結果、家中は多大な
借財を負うことになり、「引っ越し大名」なるあだ名をつけられた~
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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