735『引っ越し大名!』→現代臭まみれの時代劇 | 映画横丁758番地

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生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

生涯に7回もの国替えをさせられ、“引っ越し大名”とあだ名された実在の大名・

松平直矩(なおのり/1642-1695年)をモチーフにした土橋章宏原作の

小説『引っ越し大名三千里』の映画化と紹介されています。

 

   

 小説『引っ越し大名三千里』 / モデルとなった松平直矩

 

正直を言えば、筆者は最近の日本映画からは随分と縁遠い身分なのですが

今回は、たまたま本作が録画されていたことと、それが幾分興味深い

タイトルになっていたことなどから、つい観賞することになったものです。

 

原作になった小説は未読ですので、以下の批評はあくまでも映画作品、つまり本作に

ついてのことになります。

本作についての世間の評判・評価についてはまったく存じませんが、もし好評を

得ているとするなら、ガックリの気分です。

 

まあ、分かりやすくてコミカルな映像になっていることは認めますが、その日常が

あまりに現代風でいささか辟易します。

 

たとえば、主人公の武士の髷頭。

少なくともお城務めをしている武士なら、現代サラリーマンがネクタイをするのと

同様に、髷はやっぱり整えているハズでは?

 

また「引っ越し荷物を減らすため」として、書物をボンボン焼却処分してしまう

行動は如何なものか。

錆の出た古鉄瓶でさえ売りに出すということなら、当時の書物はそれ以上に

価値があったと想像するからです。

 

ということで、筆者の「邦画無沙汰」は、また再開されそうな雲行きに

なりました。

 

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「引っ越し大名」 2019年 監督:犬童一心  

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出演陣には、

星野源/高橋一生/及川光博/松重豊/西村まさ彦/濱田岳/高畑充希

などの名が挙がっていますが、いずれも現代風な人物像となっています。

 

監督は犬童一心とされていますが、邦画に疎い筆者はよく存じません。

 

蛇足になりますが、折角ですからモデルになった大名「松平直矩」

ついても、ひとこと補足。

~五歳で家督を相続した直矩は、翌年に姫路から越後村上藩へ国替。

 成人後には転封により姫路に復帰。

 しかし、御家騒動に対する不手際を咎められて、領地を半分以下の7万石に

 減封され、豊後国日田藩に国替。

 さらに4年後には、3万石加増の上で出羽山形藩、それだけに留まらず

 そのさらに6年後には5万石加増の上で陸奥国白河藩へ移され、格式の上では

 従前の15万石に復帰したが、生涯で幾度も国替を重ねた結果、家中は多大な

 借財を負うことになり、「引っ越し大名」なるあだ名をつけられた~

 

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。

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