原作小説の題名は「Moby Dick」(モビィ・ディック)。
アメリカの小説家ハーマン・メルヴィルの小説です。
かつて足を食いちぎった白い鯨を「モビィ・ディック」と呼び、
復讐すべく執念を燃やす捕鯨船の船長・エイハブが主人公です。
船乗りたちにも、その「白鯨」を追うことを誓わせて復讐の航海に出ました。
そして、長い航海の末に遂に宿敵の白鯨の巨大な姿を見つけます。
そこで繰り広げられた激突はまさに死闘そのもの。
ただ、とどめを刺すにはいたらず「白鯨」は再び海中へと姿を消しました。
しかし、再び姿を現したとき、今度は「白鯨」が真っ向からエイハブ船長に
挑みかかるのでした。
原作者ハーマン・メルヴィル(1819-1891年/72歳没)にも少し触れておきましょう。
1840年に捕鯨船の乗組員となりましたが、きびしい環境に嫌気が差して仲間と脱走。
その後の紆余曲折を経て、1843年、アメリカ海軍の水兵に採用。
暮らしに余裕の出来たハーマンは文筆業で身を立てようと、当時流行していた
海洋小説に手を染め、1845年に処女作『タイピー』を発表。
1851年、『白鯨』を発表するなど精力的に創作活動を続けるが、諸作品はことごとく
評価されることはなく、文筆で身を立てることは出来ませんでした。
また家庭的にも、長男のピストル自殺、自宅の焼失、次男の出奔客死などの不幸が
続いたようです。
なお、こんな紹介もありました。
~存命中は『白鯨』など主な作品はあまりの悲劇性、象徴性のためにまともな評価はされず、
本人はずっと税関で働いて暮らしを立てていた~
では、『白鯨』が注目されたのは?
~難解な作風のため、一部の愛好者を除いて無視され続けていたメルヴィルの作品は、
死後30年を経た1921年に再評価の動きがおこる~
映画化は、その「再評価」からさらに35年後、メルヴィルの死からは実に65年後の
出来事ということになります。
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「白鯨」 1956年 監督:ジョン・ヒューストン/
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(エイハブ船長)グレゴリー・ペック
出演は、エイハブ船長役にグレゴリー・ペック/
1962年『アラバマ物語』(監督:ロバート・マリガン/)
で、AW主演男優賞も獲得した人気と演技力を兼ね備えた名優でした。
「モビィ・ディック」との死闘で、たった一人生き残る乗組員役には、
1954年『道』(監督:フェデリコ・フェリーニ/)
などのリチャード・ベイスハート/
乗組員役には、
1951年『クォ・ヴァディス』(監督:マーヴィン・ルロイ/)
などのレオ・ゲン/
1956年『アレキサンダー大王』(監督:ロバート・ロッセン)
などのハリー・アンドリュース/
また、神父役で、
1941年『市民ケーン』という永遠の名作で監督・主演を務めた
天才映画人のオーソン・ウェルズ/も顔を見せていました。
監督は、
1948年『黄金』(出演:ハンフリー・ボガート/ほか)
で、AW監督賞を獲得したジョン・ヒューストン/
俳優としても数多の作品に出演しています。
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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