中東北アフリカ #とは 【リビアと、難民と、複雑すぎる世界の構造】世界難民の日2018 <前編> | Where is リビア? #2

Where is リビア? #2

中東北アフリカのこと、
日本と人たちともっと分かち合いたい。
NorthAfrica/MiddleEast/Travel/News/Fashion

 

みなさまこんにちはニコ

Minoriです🌻

 

さて、毎年6月20日は

🌍世界難民の日🌍

 

難民の保護や援助に関する

関心を高めることや、

UNHCRやNGOをはじめとした

支援機関による活動をより理解し、

支援することを目的として、

国連により制定されている日です。

 

昨年度はシリア難民に焦点を当て、

シリアから難民となった人びとを

巡るお話を、少しご紹介致しました

 

そして今年度、このブログでは

🌊リビアと難民🌊

をテーマに、読者のみなさまと

難民について考えることができれば、

と思っている所存です💭

 

 

 

🐪🌅🌴

 

 

🤔そもそも、難民とは?

はじめに、難民って誰のこと? を

去年の記事から引用してみました☟

 

UNHCRによると、今年6月時点で

難民として認定されている人の数は

2,540万人

昨年より290万人増加しました。

 

しかし、この数には

国内で避難を余儀なくされた人や

難民申請をしている人は含まれません。

それらの人びとも含め、今日、

何らかの形で家を追われている人は

世界で 6,850万人にも及びます😢

 

 

🌊リビアと難民

さて、ここからはリビアと難民の

お話を始めようと思います。

 

リビアは北アフリカに位置し、

地中海を挟んですぐ対岸には

欧州があります🚢

 

そのため歴史的にも

ローマ帝国やオスマン帝国をはじめ

東西南北に人びとや文化が

行き交ってきたのがリビアでした💡

 

しかし、だからこそ今日、

様々な場所での混乱のなかでリビアは、

主にサハラ砂漠より南にある

アフリカ諸国から、

人びとが難民や移民として

欧州を目指す経由地として

多くの痛みや悲しみを生んでいます。

 

 

【移民と難民は同じではない】

ここで、まずはリビアを経由して

欧州へと向かう人たちの中には

難民移民

両方がいることに注意です⚠️

 

(UNHCRの見解を参考に筆者作成)

難民は迫害や暴力によって

出身国の保護を受けることができない人、

対して移民理由は関係なく

一般に出身国から移動する人を指します。

➡︎受け入れ国としても、

難民政策と移民政策、

それぞれ別々の政策、法律によって

全く異なる扱いとなります💡

 

今回は世界難民の日ということで

UNHCRによると、現在4万人以上にのぼる

リビアにいる、あるいはリビアから移動した

難民を中心に取り上げますが、

リビアには主にサハラ以南の国ぐににより

難民と、主に経済的な理由による移民の

両方が辿り着いていることを

念頭に置いていただければと思います👀

 

(ニュースなどではよく、

全員が "移民" 扱いされているので、

ちょっと紛らわしいですね😓)

 

 

【欧州に行けばきっと…】

リビアに経由地として辿り着く人びとの

道のりを見える化させた地図によると

それらの人びとの出身国としては、

セネガル、コートジボワール、

ガーナ、ナイジェリア、南スーダン

エチオピア、ソマリア、イエメン、

エリトリアなどが挙げられています🌍

 

貧困などから自発的に欧州を

目指す、移民にあたる人もいれば、

紛争地である南スーダンやイエメン、

あるいは圧政に苦しむエリトリアからなど

難民としてリビアを経由する人も

いることがわかります🚶

 

いずれにせよ、

欧州で今よりは安心できる生活が

送れるかもしれない、

移民の場合、職に就けるかもしれない、

という一縷の希望を持って

欧州を目指す人が多くいます。

 

 

【欧州までの遠すぎる道のり】

国外への脱出を行う場合、

密入国ブローカーに高額なお金を払い

複数のブローカーを介して

はじめに多くの場合トラックで

リビアをはじめとした経由地へと向かい

その後ボートに乗って欧州へ渡ります。

 

目的地へちゃんと辿り着くのかという

確信もないなか、人びとは

ブローカーを信じるほかありません。

 

また、リビアから欧州へ向かう手段は

とても簡素なボートです🚤

救命ベストを着ることもありますが、

ブローカーの利益を最大にするため

定員オーバーであることは

全く珍しいことではりません🙅

 

 

地中海を渡ることは非常に困難で

難民や移民を乗せたボートが

転覆する事故が相次いでいます。

 

2015年4月には、

リビア沖を少し離れたところで

難民、移民700人以上を乗せた

ボートが転覆する事故があり、

ボートに乗っていたほとんどの方が

亡くなられたとみられています。

 

移民(難民含む)の移動中の転覆等の事故や

それらの死者数を記録している

MISSING MIGRANTSによると、

今年2018年だけでも地中海において

欧州を目指して亡くなった人の数は

857名にものぼります😞

 

これらはただの数字ではなく、

一人ひとりに家族や友だちがいて

将来があったということを

ぜひ少し、想像してみてください。

 

 

【人間の尊厳はどこ?】

さらに、中継地点のリビアで

難民や移民が劣悪な環境に

置かれていることも判明しています。

 

地中海を目指してリビアへ密入国後、

リビア内務省や地元の武装勢力などに

捕まってしまうことがあり、

移民、難民は収容施設へと送られます。

 

一度収容施設に入れられると

最低限必要なものへのアクセスも絶たれ

外へ助けを求めることもできない

状況が待っているといいます😧

 

移民、難民への暴力は当然のこと

そうした人びとからお金を巻き上げるため

脅しが行われたり、

リビア人により性暴力が

行われていることもわかっています。

 

衛生環境も劣悪であり、

収容施設には治療の必要な人や

病人及びけが人、

そして心のケアの必要な人などが

たくさんいると見られています。

 

この動画で、

リビアの収容施設の様子や、

人びとの声を知ることができます。

 

他方、何とか地中海を渡ることになっても

リビア沖で見つかってしまえば、

リビアの沿岸警備隊によって

国内に連れ戻されてしまいます😕

 

 

これが特に国際社会の注目を

受け始めたのが、昨年11月のこと。

 

きっかけは、リビアで

サハラ以南からの難民、移民が

まるで奴隷のように競売にかけられ、

尊厳を一切無視した扱いを受けている

様子が報道されたことでした。

 

この報道をうけ、パリをはじめとして

リビア大使館の前などでの

抗議運動が行われました。

 

 

💔リビアだけが悪い?

こうした報道や抗議を受け、

11月末にはアフリカ連盟とEUが

リビアにいる移民を避難させる

措置を取ることで合意に至ったり、

リビア当局も実態の捜査を

公式に行うこととなりました🔍

 

しかし、どんなにリビアが責められても

リビア一国だけでは解決のできない

部分があることも事実です。

 

 

【リビアの不安定な情勢】

リビアは2011年の独裁政権の崩壊以降、

新しい国家づくりを巡り、

今日まで混乱が続いてきましたもやもや

 

権力の空白地となったリビアには

様々な勢力が入り込み、

2016年ごろにはISILが局地的に

暴力による支配を行なっていた時期も。

 

現在は、東西に二つの政府が

正当性を争い合っていると同時に、

軍や武装勢力、民兵組織などの間で

一部では今でも戦闘が続いています🔫

 

憲法の不在に代表されるように、

法の支配が不十分であり、

破綻国家の状態にあります😢

 

 

また、これまで経済を石油に

完全に依存してきたリビアにとって、

混乱の中で石油の生産量が

不安定になったことで、

人びとの生活も厳しくなりました😔

 

国連人道問題調整事務所によると

現在、リビア人のうち110万人

すなわち人口の6人に1人

人道的支援を必要としている状況に

あることがわかっています。

 

仕事も希望もないリビアでは、

武器、移民、薬物、密輸の

四つの違法な市場が拡大し(*1 参照)

機能している政府もいないために、

誰も止められない事態になっています。

 

多くの難民や移民がリビアを経由するのも

地域の中では密入国が最も

しやすい国の一つであるからです。

 

もちろん先に挙げた収容施設における

暴力や抑圧なども、

全く規制をかけることができない

状態となっています。

 

 

【欧州が困っている】

リビアなどを介してたくさんの

難民や移民が流入してくることに、

これまで欧州は様々な措置を通して

対応しようとしてきました🤔

 

移民の流入により、

受け入れ先の社会が不満を感じると

政権も不安定になりかねないため、

できれば移民が入りすぎるのは防ぎたいと、

各国も必死です😿

 

EUとしては、リビア"政府"に対して

国境を警備してもらうための資金を

何十億円分も提供していたり、

イタリアはリビア沖に船を送り

移民の流入を阻止しようとしました✋

 

しかし当然ながら、これらの措置は

難民や移民をリビアに送り返す、

あるいはリビアに留めることになります。

 

リビアに難民や移民が戻った時に、

卑劣な環境が待っていることが

明らかであるにも関わらず、

問題をリビアに抑え込む措置が

何を意味するのか…

 

もちろん、イタリアをはじめ欧州各国は

既に多くの難民や移民を受け入れており

過去には移民の救助作戦なども

行ってきました🚢

 

しかしながら、

何十万人もの難民や移民が

放っておけばどんどん入ってくる

という状況に、

欧州は疲弊しきっている側面もあり、

手放しに欧州を批判しても

問題は解決するように思えません😩

 

 

【イタリアなどが受け入れ拒否】

この5年間でリビア沖から

60万人もの移民や難民が殺到してきた

イタリアでは、5月末に右派政党"同盟"と

ポピュリズム政党"五つ星運動"による

連立政権が誕生

 

両者は兼ねてから反移民を訴えており、

6月中旬にはリビア沖から来た

629人の移民を乗せたボートに対して

港を閉めるという措置を取りました🚫

 

このボートには6人の妊産婦と

100人の同伴者のいない未成年が

乗っていたものの、その後

隣国マルタへの入港も拒否され

数日間の漂流の末、NGOの支援のもと

スペインでの救助が実現しました。

 

各国が苦しい状況にいる間にも、

難民や移民の多くが見放され、

行き場を失っていることには

変わらないことです。

 

欧州に到達するまでの

長すぎる旅路において、

命を落とす人も少なくありません。

 

🌊

 

さて、ここまでが <前編> でした🙋

<後編>では、この複雑すぎる構造の

さらに複雑なところをご紹介しながら、

それでもできることを一緒に

少し考えていければと思います💭

 

後編はこちらから

 

 

💬ソース

(めちゃ長くてすみません🙇)

✔︎MSNBC: "Libya: Damned for Trying"

→サハラ以南諸国からリビアを経由して

欧州へ向かうルートが

地図でわかりやすく示してあります📍

✔︎国境なき医師団: 「リビア:ひどい暴力。心に落とす影。難民・移民らの不当な勾留を止めさせるために」 (2017.09.19)

→少しショッキングではありますが、

リビアの収容施設に拘留され、

人間の尊厳を奪われている移民・難民の

様子を写真で見ることができます。

✔︎HUMAN RIGHTS WATCH: "WORLD REPORT 2018: Libya Events of 2017" (日付なし)

✔︎CNN International Edition: "People for sale Where lives are auctioned for $400" (日付なし)

✔︎The Guardian: "700 migrants feared dead in Mediterranean shipwreck" (2015.04.19)

✔︎Reuters: "EU gives 46 million euros to Italy to help protect Libya borders" (2017.07.29)

✔︎BBC: "Migrant crisis: Italy approves Libya naval mission" (2018.08.02)

✔︎The Guardian: "Libyan path to Europe turns into dead end for desperate migrants" (2017.10.30)

✔︎BBC: "EU migrant deal with Libya is 'inhuman' - UN" (2017.11.14)

✔︎CNN International Edition: "Libya opens investigation into slave auctions following CNN report" (2017.11.17)

✔︎BBC: "Libya migrant 'slave market' footage sparks outrage" (2017.11.19)

✔︎BBC: "Libya migrants: Emergency evacuation operation agreed" (2017.11.30)

✔︎TIME: "The Libyan Slave Trade Has Shocked the World. Here’s What You Should Know" (2017.12.01)

✔︎AMNESTY INTERNATIONAL: "Libya: European governments complicit in horrific abuse of refugees and migrants" (2017.12.17)

✔︎Reuters: "Human smugglers in Libya have links to security services: U.N. report" (2018.02.08)

✔︎ Al Jazeera English: "Italy 'to shut ports' to boat carrying over 600 refugees" (2018.06.11)

✔︎Al Jazeera English: "Weak and exhausted, rejected refugees close to Spain arrival" (2018.06.15)

✔︎YOUTUBE (おすすめ動画): 

→こちらは、経済的な困窮から

ナイジェリアからリビアを経由して

欧州を目指したマリーさんのお話です。

マリーさんは経済的な理由から国を出たため、

難民よりも移民という表現が適切ですが、

移民であれ、難民あれ、多くの人びとが

同じような境遇に置かれています。

 

____________________________

*1 Shaw, Mark; Mangan, Fiona. "ILLICIT TRAFFICKING AND LIBYA'S TRANSITION PROFIT AND LOSSES". United States Institte of Peace. 2014. Pdf.

 

 

🐪🌅🌴

 

 

今回も最後までお読みいただき

ありがとうございました🙈

 

後編はこちらより

ご覧になることができます👀💭

 

長くなってしまい恐縮ですが、

様々な人びとの視点をできる限り

取り入れたいと考えました。

ぜひ最後まで読んでいただければ

とても嬉しいです🙇💓

 

 

もし なるほど! 勉強になった!

と思って頂けましたら、

ぜひいいね👍やコメント💬を

していただければ嬉しいです😻

新たな発見をお友達や家族に話したり、

SNSでの共有もぜひお願い致します☺️

 

ではでは、

マアッサラーマ👋

(アラビア語でさようならの意)

____________________________

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Also read: Where is リビア?

 

Minori :)