ボイストレーナー: 坂下忠弘
千葉県出身。
桐朋学園大学音楽学部声楽科卒業。同大学研究科3年修了。第53期二期会オペラ研修所マスタークラス修了。第9回中田喜直記念コンクール大賞(第一位)及び中田喜直賞受賞。旧奏楽堂日本歌曲コンクール第22回歌唱部門入選。他多数入賞。歌曲の伴奏ピアニストとして半世紀以上も著名な活躍を続けるダルトン・ボールドウィンに【フォーレを歌うための声を持って生まれてきた】と称賛を受け、マスタークラスにゲストとして招かれる。
桐朋学園大学主催「声楽コンサート」・「日本歌曲の夕べ」・「若い作曲家による作曲展(初演)」、二期会主催「二期会オペラ研修所第53期修了生・成績優秀者による二期会新進声楽家の夕べ」に出演。またモーツァルト「レクイエム」・「ミサ・ブレヴィス」、フォーレ「レクイエム」、シャルパンティエ「真夜中のミサ」にソリストとして出演し高い評価を得、笹川日仏財団主催レクチャーコンサート等にも抜擢されている。
オペラでは、レハール『メリー・ウィドー』サン・ブリオッシュ(東京オペレッタ劇場)、メノッティ『霊媒』トビー(よこすか芸術劇場オペラ宅急便シリーズ)で存在感を示し、専門誌等においても高い評価を得、ヴェルディ『リゴレット』マルッロ、メノッティ『電話』ベン、モーツァルト『フィガロの結婚』伯爵・『ドン・ジョバンニ』タイトルロール・『コジ・ファン・トゥッテ』グリエルモ、モンテヴェルディ『ポッぺアの戴冠』オットーネ、リヒャルト・シュトラウス『アラべッラ』マンドリカなどで聴衆を魅了した。
2010年7月には初のソロリサイタル「バリトンリサイタル~シューマン生誕200年~」を開催、シューマン「詩人の恋」全曲を採り上げるなど、独・仏・日をはじめとする歌曲のレパートリーの幅を意欲的に広げている。
現在はリサイタル活動やオペラ出演を中心に活動する傍ら、多くのコンサートにゲスト出演。雑誌などのメディア掲載が予定されている。これからの活躍に目を離すことができない若き逸材。
二期会会員。
当団ボイストレーナー。
身体と音楽。
ちょっと(かなり?)間が開いてしまいましたが、先月の終わりに1泊2日の合宿を強行してまいりました。
今回はボイストレーナーの飯田みち代
先輩、またピアニストの横山智昭
さんがいらっしゃるので、団員達もいつもにも増して気合十分。今のメンバーの殆ど全員が三浦海岸に集結しました。
指揮者 や団長 の呼び掛けもあって、今回はできるだけ暗譜で歌えるように事前に準備をして合宿に臨みましたが、今回改めて感じたのは、音楽はまず身体なのだということ。
例えばこんなことがありました。
「母音のイメージを体を使って表現してください」とみち代さん。
まずは声を出さずに、各自が各々の全身を使って、「ア」や「エ」、「イ」「オ」「ウ」という"音"を表します。
その様はさながらダンスかパントマイムか。
そして実際に歌詞を付けて歌いながら、「振り」を付けてみます。
すると自分達でもびっくりするほどの圧倒的な「声」が。
声の大きさだけではなく、強さだけでもなく、「伝えようとする意志のある声」がそこにはありました。
みち代さんは「結局、みなさん、歌う前に頭も体も準備ができてなかったということなのよね」とおっしゃる。
体が音につながること。体を通して音を表わすこと。
指揮の振り方一つで団員の集中力が高まったり、背筋を伸ばして肩の力を抜くだけでピアノの音が変わったり、指を鳴らしながら歌うだけでノリがスウィンギーになったり。
音楽というものの本質を垣間見た気がしました。
みち代さんや横山さんのアドバイスもあり、各々の楽曲に対するイメージのコンセンサスも飛躍的に得られたので、11月の演奏会 に向け、いい弾みがつきました。
改めて感謝です。
・横山さんの指導。何の指導かは演奏会でのお楽しみ。
・恍惚というのはこういう表情のことを謂うのでしょう。二日目の朝の柔軟体操の一場面。
・みち代さんが最近凝ってらっしゃる合気道のエッセンスを味わいました。「気」が声に乗る感じがいい!
(文責:中村太郎)
暗譜の効能。
早いものでもう一週間経ってしまいましたが、先週の日曜日は巣鴨で集中練習がありました。
通常であれば月に一度、土曜日の午後に集まって練習することが多い当団ですが、先般のpiacere便りにも書いたように、節電の影響で指揮者 が土日出勤となってしまったこの夏、指揮者が有給休暇を取れたときにガッツリ練習しようという魂胆です。
私たちの母体であるハイマート合唱団
の第50回定期演奏会OB・OG合同ステージ
からも2人見学にいらしていただいて華やいだ雰囲気。
朝の10時から始まった練習はまずは柔軟から。
当団ボイストレーナー、坂下忠弘 さん仕込みの体操を、副団長のO氏が指導します。
合唱は当たり前のことですが声の積み重ねであり、また声が拠るところは体そのものです。
体が温まっていないと声は出ないし、声が出ないと音楽に応えることはできません。
歌の基本は体。そのことを改めて感じました。
指揮者が登壇した後はすべての曲を満遍なく。
新たに弱点が見えたところ、あるいは確信をもって歌えるようになったところ。
特に今回はところどころ暗譜にチャレンジしてみたので、いつもにも増して音楽の全体像が見えたように感じました。
楽譜を落とすと、歌詞を思い出すのにCPUが割かれる気がして、個人的にはあまりメリットを感じていなかったのですが、体にある程度音楽が入った段階であれば、音楽への理解が数段進みますね。
というか、歌詞に拘泥しなくてもいいくらい練習しておけ、というのが本質なのでしょうが。
今月末にはいよいよ当団ボイストレーナー(というよりもはやスーパーバイザー?)の飯田みち代 さんを迎えての合宿がありますが、数々の有益なアドバイスを受け止める土台ができたのではないかと、少し期待が膨らみました。
(文責:中村 太郎)