第279回  異業種交流 | [粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

先日、センターに2人の若い事業家が訪れました。

 

目的は、当センターで行なっている陽子線治療の後、彼らの技術が役立つかもしれないと言うプレゼンテーションでした。

 

よく話を聞くと、手術後であれば彼らの技術は非常に役に立つのですが、陽子線治療の後では全く役に立ちません。

 

2人の話を聞いた直後に、

「残念ですが、センターではこの技術が役に立たないようです」と返答すると、2人の顔には残念と不満の表情が現れました。 

 

 

ただ、今回の話を聞いているうちに、私は、このビジネスが医療ではなく介護の分野で役に立つのではないかとひらめき、率直にそう伝えました。

 

自分たちが自信を持って行なったプレゼンテーションの直後に、新たなアイディアを提案されたわけですから、彼らは当然浮かない顔です。

 

しかし、あまりにも私が真剣に話すので、賢い彼らも真剣に話を聞き、だんだん目つきが変わってきました。

 

私の話を聞いて、2人にも新たなアイディアが湧いてきたようで、その意見を聞いているうちに、日本だけではなく他の国でもそのアイディアが生かせるのではないかと考えました。

 

真っ先に頭に浮かんできたのは、中国の介護分野で活躍している友人の顔です。

 

アイディアがまとまって連絡をくれたら、その友人にもビジネスが広がるか聞いてみると伝え、話し合いを終えました。

 

 

数日して2人からメールが来たので、早速、前述の友人を紹介しました。

 

彼らの間で、新しいビジネスが展開していくことを期待しています。

 

 

私は、普段から異業種間の交流を楽しんでいます。

全く異なる価値観や目線は、同業者だけでは考えつかないアイディア、疑うことのなかった常識を簡単に打ち破り、イノベーションを可能にするからです。

 

陽子線治療はアイディア次第で無限の可能性を秘めています。

 

引き続き、試行錯誤しながら陽子線治療を進化させ、一人でも多くの患者さんを幸せにします。