久しぶりに美しくて静かな映画を観た。
「蜂蜜」「ミルク」「卵」は三部作なのだそうだ。
「卵」が一番最初で、次が「ミルク」、「蜂蜜」は一番最後の作品。
そして、主人公の年齢が作品を追うごとに段々と下がっていく。
「蜂蜜」は静謐な森の中の物語。
音楽は一切なし。
セリフも少ない。
自然の中には美しい音が溢れていて、人が創った音楽以上に饒舌。
ユスフ役の少年がとても表情豊かでかわいい。
ユスフの夢が現実と非現実の境を曖昧にする。
生も死も含め、そして魂も私たちは自然の一部であることを思い出させてくれる。
あまりにも「蜂蜜」が素敵な映画だったので、三部作のもうひとつ「ミルク」も観た。
冒頭のシーンにはドキリとさせられる。
「蜂蜜」で少年だったユスフが少し成長している。
森を出て、母親と二人で乳牛の世話をして生計を立てている。
「蜂蜜」でも牛乳が大切なメタファーとして登場していた。
こちらは思春期で、母親との関係を通して、自我の芽生え、心の成長がテーマとなっている。
ラスト近く、愛する母親を見つめるユスフの表情が印象的。
壮年になり、詩人となったユスフが登場する「卵」もいつか観て観たい。
蜂蜜
http://www.alcine-terran.com/honey/