大人になったユスフが見たくて「卵」を観に行く。
観終わった後で、パズルのように映画のシーンが意味することが分かってくる。
スランプ状態の詩人ユスフにお母さんが亡くなったという知らせが来る。
イスタンブールから久しぶりに育った街に戻るユスフのお話。。
映画の冒頭でお母さんが歩いて行ったのはあちらの世界。
この監督さんは現実の世界の映像を使って非現実なものを提示する。
こちらも想像力を働かせながら映像を観る。
三部作の最初がこの「卵」
先に後から創られた「蜜蜂」と「ミルク」を観ているので、逆にそれが邪魔をして「あのシーンとこのシーンはどう繋がるのだろう」とかあれこれ考えてしまう。
一番最初に「卵」を観て、「蜂蜜」「ミルク」で大人になったユスフに思いを馳せた方がいいようだ。
亡くなったお母さんはユスフが戻ってきてくれることを望んでいた。
でも、本当に戻ってきてほしかったのは、ユスフの身体ではなくて心だったのだろう。
自分のルーツ、根っこにあるものを取り戻すことで、詩人としての魂も取り戻せることを望んでいたのだろう。
それはユスフ自身のことでもあり、きっと今のトルコのことでもあるのだろう。
卵は「生まれる」ことの象徴。
夜が明けて朝が来る。
ラストでは雷の音とともに希望が見える。
卵