⚫️児玉さや佳のピアノ 2018.05.06. | yukkieのブログ

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児玉さや佳・佐藤智孝 リサイタル
(2018年3月25日 国分寺スタジオ花音にて)

 児玉は桐朋を卒業した後ヨーロッパで、特に最晩年のラローチャに師事したピアニスト。スペイン音楽やショパン、そして即興演奏を得意としています。パートナーの佐藤はチェリスト。藝大を卒業後、やはりヨーロッパで特にウィーンで長年研鑽を積んだとのこと。

 今回は国分寺スタジオ花音というひなびているがお洒落なホームコンサート会場でのジョイントリサイタル。バッハのフランス組曲第6番とショパンの24の前奏曲(以上、児玉)、サン=サーンスの白鳥とベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番(以上、佐藤+児玉)。

 児玉の演奏を久しぶりに聞きましたが、バッハの最初の一音からその厚めの響きに引き込まれます。自然で穏やかに流れる大河を思わせてくれます。続くショパンは、それぞれの調に合わせた多彩な音色を駆使しながらも、過剰な刺激を回避しながら大きく円環を描くような演奏を聞かせてくれました。素晴らしい。

 後半の佐藤の演奏は、怪我のあとの復帰ということで多少苦しそうな部分もありましたが、何よりこれをもって生きようとするベートーヴェンらしい意志の強さをたびたび感じ取りました。演奏者の執念というものが感じられます。

 児玉は10年ほど前に聞いたときに、ラローチャ直伝というスペイン音楽を聞かせてくれ、あまりの素晴らしさに圧倒されたのを覚えています。今回はホームコンサートなのかスペイン音楽が含まれなくて残念。しかしバッハとショパンを聞きながら、私の記憶するラローチャの素晴らしさを確実に引き継いでいる、優秀なピアニストだと改めて感じました。
 
  この5月12日には、彼女の本拠地のアミュゼ柏にて、毎年行なっているリサイタルがあるとのこと。グラナドスなどの含まれる重要なリサイタルのようです。私は残念ながら仕事で行けませんが、さらに豊かな音楽を紡いでくれることでしょう。