秋篠宮の大嘗祭発言 | 弁護士法人FAS淀屋橋総合法律事務所のブログ

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 秋篠宮は、11月22日の記者会見で、次のように述べた(各紙)。

 即位の礼は、これは国事行為で行われる。大嘗祭は、これは皇室の行事として行われ、宗教色が強いものになるので、国費で賄うことは適当でなく、内廷会計で行うべきだ。身の丈にあった儀式にするのが本来の姿だ。

 

 誠に時宜を得てかつもうすぐ皇嗣になる立場での堂々たる発言である。象徴天皇制を基本とする皇室にとっても頼もしいものといえよう。

 

 1989(平成元)年12 21 日の政府見解によると,即位の礼の儀式のあり方は「憲法の趣旨に沿い,かつ,皇室の伝統等を尊重したものとするという観点から」定められ,大嘗祭については,宗教上の儀式であり、国がその内容に立ち入ることにはなじまないから、国事行為として行うことは困難だが,皇位が世襲であることに伴う,一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式であり,その意味において …… 公的性格があるとして,その費用を私費たる内廷費でなく公費たる宮廷費から支出した。

 

 政教分離との関係では、最高裁平成14711日判決は、大嘗祭への知事の参列は、「天皇の即位に伴う皇室の伝統儀式に際し,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇に対する社会的儀礼を尽くすものであり,その効果も,特定の宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるようなものではないと認められる」。「大嘗祭への参列は,宗教とのかかわり合いの程度が我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず,憲法上の政教分離原則及びそれに基づく政教分離規定に違反するものではない」としている。

 

 私などは、秋篠宮の発言の趣旨を支持するが、内廷費と言っても出所は国庫からなので、政教分離に価値観を持つ秋篠宮の言やよしという程度の感慨にとどまる。  

 

斎藤浩