751『ジ・アウトフィット』→室内サスペンスの金字塔! | 映画横丁758番地

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生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

かつてはロンドンで腕を鳴らした職人気質の仕立屋だった初老の男は、

この地で味わった悲しい出来事と決別するべく、戦後にアメリカへ流れて、

シカゴの下町でオーダーメイド紳士服専門の小さな店を開きました。

そしてどんな縁があったものか、店を始めて最初のお客がなんとギャングの

ボスだったのです。

 

ところが、そのボスは男が備えた職人気質の丁寧な仕事ぶりと寡黙で実直な

人間性をすっかり気に入ってしまい、以来お店は「ギャング御用達」の状況に。

現在は若い女性一人を助手として店を営んでいますが、そういう事情から、

日頃からギャングたちの店への出入りは頻繁です。

 

そして、この日も主人と助手が詰めているこの店へ二人のギャング、

ボスの息子とその用心棒がやってきました。

 

そしてここから始まったお話は、次第に意外な方向へと進み出し、遂には

驚天動地の結末へ・・・

 

ということで、静かながらも緊張感の溢れて息をもつかせぬ展開には

筆者などはもう完全に飲み込まれていました。

そしてまた、ラストが実に上質な「どんでん返し」になっていて、これは

「絶品級!」との評価を下したいところです。

 

ちなみに、タイトルにある「アウトフィット」は、本来は「衣装」ほどの

意味であり、本作では主人公の職業である紳士服の仕立屋を示しています。

ところが、実際この時代のシカゴを単独のファミリーで支配していた

マフィア組織も、隠語で「アウトフィット」と呼ばれたそうです。

つまり、一種の掛詞になったタイトルということになりそうです。

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「ジ・アウトフィット」 2022年 監督:グレアム・ムーア/  

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     マーク・ライランス/

 

出演は、主人公の仕立屋に、

2016年『ブリッジ・オブ・スパイ』(監督:スティーヴン・スピルバーグ/)

で、アカデミー助演男優賞を獲得したマーク・ライランス

2017年『ダンケルク』(監督:クリストファー・ノーラン/)

にも出演していました。

 

そのアシスタントを務める若い女性役には、ゾーイ・ドゥイッチ

出演作は承知していませんが、父親が映画監督のハワード・ドゥイッチ/

母親は、

1985年『バック・トゥ・ザー・フューチャー』(監督:ロバート・ゼメキス/)

でよく知られる女優リー・トンプソン/とのこと、いわば映画一家の家庭に

生まれ育ったようです。

 

(ギャングのボスの)息子の用心棒役は、

2021年『オペレーション・ミンスミート-ナチを欺いた死体-』

    (監督:ジョン・マッデン/)

にも出演した、ミュージシャンでもあるジョニー・フリン

 

その(ギャングのボスの)息子役は、

2014年から始まったSFスリラー『メイズ・ランナー』(監督:ウェス・ボール/)

のシリーズ3作品で主役を務めたディラン・オブライエン

 

監督は、

2014年『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』

   (監督:モルテン・ティルドゥム/)の脚本を担当し、

見事に第87回アカデミー脚色賞を受賞したグレアム・ムーア/が

務めています。

抑制が効いた演出で、実に見事な出来栄えになっています。

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。

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