日系カナダ人の歴史【インクルーシブ教育研修ツアー】 | 誰もが違うということを前提とした教育にしていこう!

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主に特別支援教育、インクルーシブ教育、ASD、ADHD、LD等について書いていましたが、社会全体が大きく変わってきており、特定した話だけでは答えのない答えを導き出せない時代がやってきたと感じています。そのため何でも思いつくままに書いています。

前回、インクルーシブ教育研修ツアーについて書こうとしたら

4年前のクートニーレイクのことを思い出し、

更には高校生の時に行ったエドモントンのことまで思い出し、

結局、研修ツアーについて何も書いていない…

ということで、本日からバンクーバーでの

インクルーシブ教育研修ツアーについてまとめていこうと思います。

 

まずは日系カナダ人の歴史を学んできたので紹介します。

1877年より前に日本の漁師が遭難して

ブリティッシュコロンビア州の西海岸に流れ着いたという話があります。

 

こちらのフレーザー川のほとりに多くの日系カナダ人が住んでいたそうです。

 

ブリティッシュコロンビア州リッチモンド南のStevestonにあるMurakami House。

当時の様子が分かるように保存されています。

 

その当時、日系カナダ人はカナダに生まれカナダ国民であっても、

日本人を先祖として持つ者には選挙権が与えられなかったそうです。

1941年カナダと日本が開戦すると人種差別はますます激しくなり、

日系人のほとんどがカナダ生まれであったり、帰化してカナダ国民になっていても、

カナダ政府は日系人のことを「日本に人種的期限をもつ者」と呼んだそうです。

 

カナダ連邦警察や軍の指導者たちは日系人が住んでいる家や

コミュニティーからの退去を命じ、8000人を超える日系人が

Hastings Park(カナダブリティッシュコロンビア州バンクーバーの北東部)の

馬小屋などに収容され、内陸部の収容所かカナダ各地の労働キャンプに送られました。

住んでいた家から追い出され、持っていたものをすべて失い、

また多くの家族が離れ離れにされました。

 

1988年9月22日、「過ちを正す」リドレス(redress)合意が連邦議会で発表され、

合意書には次の内容が含まれました。

 

・カナダが日系カナダ人の人権を侵害したことを認めること
・損害を受けた個人に対して一人2万1千ドルを支払うこと
・日系カナダ人コミュニティーのための基金設立に1千2百万ドル支給すること
・戦時措置法により犯罪者とされた人々の犯罪歴を抹消すること
・日本へ追放された人々のカナダ国籍を回復すること
・人種差別撲滅に役立てるため、カナダ人種関係基金を設立すること

 

日系カナダ人にはこのような歴史があったわけです。

そもそも、カナダという土地は誰のものだったのかということを考えると、

何千年もの間、先住民族が大切にしてきた土地だったということです。

 

そういったこともあり、カナダの人達は公で話すとき

たいていの人がはじめに「私達は先住民の土地をおかりして生活させていただいています。

そのことに感謝します」とおっしゃいます。

 

つまり、カナダはこのような歴史が背景にあり、

罪を認め、過ちを正してきたということです。

 

 

こちらはリッチモンド市の公立小学校ですが至るところに日本人の名前があります。

一瞬、日本人学校なのだろうか?と思いましたが、カナダの公立小学校でした。

この土地で起こった過去の過ちを忘れないように、日系カナダ人にも選挙権が与え

られるよう運動した本間留吉さんの名前をとって本間小学校と名付けられていました。

 

学校内の至るところにINCLUSIVEという文字があり、

LGBTQの人達にとっても安心な場所と明記されていました。

 

こちらは本間小学校の校長先生がそれぞれの子どもをサポートする時のポイントや

体制についてお話くださったときのものです。

 

インクルーシブ教育がすすんでいるカナダのブリティッシュコロンビア州ですが、

こういった歴史的背景があり、またカナダは移民でできた国ですから、

移民がいなければ成り立たない国ともいえます。

そういった結果、多様性を重んじる社会や教育をせざるを得なかったとも言えそうです。

 

今、日本もインクルーシブ教育をすすめざるを得なくなってきています。

そのためには、まずは法律をつくることが必要だと私は思っています。

今の日本の教育システムのままでフルインクルーシブ教育をすすめると、

子ども達も教師もみんな疲弊して、差別と偏見にまみれ排除が進むだけになりそうです。

インクルーシブ教育についてはこちらで詳しく書いています。

インクルーシブ教育とは?実践に必要なことや事例、現状と解決策を紹介 

The Asahi Shinbun SDGs ACTION! 2023.03.21

 

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