新堂隼人、ピアノ製作者のブログ in ドイツ -43ページ目

いざ!

毎週の事なんですが金曜日の仕事が終わるとホッとします。

来週から6週間の職業学校に行くため、今日は工房の皆としばしのお別れ。
今度の第4ブロックには中間試験もあるので、皆から色々と励まし(?)の言葉をもらいました。

最近は中間試験の実技試験の木工課題を作ってはマイスターに見せ、作っては見せ…の繰り返しでした。

木工課題の木にはブナの木などが使用されるのですが、これが高級な木なんです。
惜しみもなく材料を提供してくれた事に心から感謝をしています。

そして昨日はマイスターと2時間くらい刃物を研いでいました。
機械や石で刃先を研ぐ時の身体の使い方、刃先の置き方、離し方、どうなったら一番良い状態なのか、固い樹と柔らかい木を削るのには鉋(カンナ)の刃の位置を替えて設置しなければいけないこと…などなど教えてもらったことは数多く、出来ているつもりでいたことにはとことん突っ込みが入り、理由を知らないことは細かくそれを教えてもらいました。

最近は木や工具を持った時に、色々な人が言ってくれた助言や自分の考えが浮かんできます。注意するべきことが分かってきた、という感じでしょうか。

中間試験はあくまで試験。工具を持つという勉強はずっと続いていきます。きっと教えてもらったことと、多くの練習をしたことによって、良い状態で試験を受けることができるような気がします。


最後に職業学校からの指示で持って行く工具たちを。

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工房での仕事② -Dämpferfedern-

すっかりご無沙汰してしまいました。相変わらず寒い毎日ですが、元気にしています。

今日は朝から2台ピアノの調律をしました。調律と言ってもVorstimmen(フォアシュティメン)と言うもので、初めてピアノにする調律、いまば準備体操のようなものです。なのでピッチは高めで445Hzです。

そして昼からはDämpferfedern(デンプファーフェーデルン)という部品を調節していました。英語でダンパースプリングと言います。

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上の写真で、ピョコっと出ている線がそれです。これを曲げたり伸ばしたりすることによってダンパーが動く速度を揃えていきます。そうすると結果的に鍵盤の重さを揃えることにもなるんです。


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上の3枚の写真はダンパーの上に重り(48~50g)を乗せてダンパーの跳ね返り具合を試しているところです。
上から高音部、中音部、低音部で徐々にダンパーに重りを乗せる位置を手前にずらしていくことによって、結果的にダンパーに同じ負荷がかかっています。

あまりに重りが早く下に行ってしまう時には、Dämpferfederを曲げます。逆に重い場合には伸ばします。


意外と単純な作業に見えて、慣れるまでは大変なものです…。


工房での仕事① - Unterrahmenの角を削る-

少し暖かくなったかなと思ったけれど、また昨日は雪が積もり肌寒い。

これからはもっと皆さんにピアノの事を知ってもらいたいという想いを込めて、工房での仕事の様子を詳しく書いていきたいと思います。

では早速。


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これはUnterrahmen(ウンターラーメン、下前板)という部位です。アップライトのペダルが出てきている下方の大きな部分です。まだ寸法に合わせて裁断されたばかりで塗装もニスもかけられていません。

材質はMDFというもので、細かく砕かれた木を凝縮したものです。先日はUnterrahmenの角を20台分削りました。



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これはUnterrahmenの角を拡大したものです。周りにFurnier(フォニーア、化粧板)が張ってあります。

この場合、上のFurnierが横のFurnierに覆いかぶさっているので時計周りに角を削らないとFurnierが剥がれてしまいます。



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これも角です。色が少し濃くなっている部分はLeim(ライム、にかわ)で、これも削り取らなければいけません。

角を削る理由としては、ピアノを触る時に手を傷つけないため、そして塗装やニスののりをよくするためです。


日本時間では土曜日の夜ですね。素敵な休日を。