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すまいのレシピ【すまレピ】 フィンランド便り

フィンランドの最新インテリア、家具、インテリアアイテム、インテリアコーディネート情報、現地の日常など、様々な情報を現地特派員がお届けします。

先日、ユヴァスキュラ中央のTuomiojärviという湖にあるLehtisaariへ訪れました。

 

 

Lehtisaariは、ユヴァスキュラの教会が夏の間だけレジャーの場所として無料で開放している小さな島です。島へは教会が運営する手漕ぎのボートで渡ることができ、Viitaniemiにあるドックから出航しています。

 

 

前日までは雨の日が続いていましたが、この日は快晴でとても素敵な夏の気候でした。ユヴァスキュラ中心部のから15分ほど歩きViitaniemiの湖畔に到着し、そこから手漕ぎボートに揺られてフィンランドの夏空を映す湖面を眺めながら島へとたどりつきました。

 

 

歩いて僅か数分で周ることのできる小さな島には、小さな十字架と広場、サウナ小屋と浜辺があり、若者や小さな子ども連れの家族などがバドミントンやバーベキュー、サウナなどを楽しんでいました。そして、地元の人に混ざってサウナに入り、バーベキューをし、フィンランドの湖水地方・ユヴァスキュラならではのゆったりとした夏の素敵な時間を感じることができました。

 

 

ユヴァスキュラは、建築家のアルヴァ•アアルトの素晴らしい建物もたくさんあり、首都・ヘルシンキとは少し異なる美しい湖と緑を愉しめる都市です。

 

アアルト建築と島サウナなど、フィンランド湖水地方の魅力を味わいに是非一度ユヴァスキュラへも足を運んでみてはいかがでしょうか。

先日6月25日は、フィンランドで最も重要な祝日のひとつであるJuhannus(ユハンヌス:夏至祭)の前夜祭でした。

 

1年で最も日の長い日である夏至をお祝いするJuhannus(夏至祭)は、多くの人が都市部を離れてサマーコテージで友達や家族と過ごします。

 

 

そして、夏至祭では湖や海、広場に大きなkokko(かがり火)をともします。夏至の夜は古来からとても神秘的なものと考えられいて、かがり火を焚いて悪い精霊を追い払い豊作を願ってきたそうです。また、若い未婚の女性が夏至の夜に枕の下に7種類の花を置いて寝ると夢で将来の夫に会うことができる、という古いおまじないもあるようです。

 

 

前夜祭及び夏至祭中は、街中のほとんどのお店はお休みにであったり、もしくは営業時間短縮となっていて、道を走る車の量や公共交通機関に乗る人の数は普段よりかなり少なかったです。例年は曇りや雨続きの夏もあるとのことですが今年は快晴でした。

しかし、しばらく晴れの日が続いていたためフィンランド南部に乾燥注意報が発令されてしまい、残念ながら今年はkokkoを見ることはできませんでした。親戚や地域の人が一堂に集まって夏の訪れを祝う様子は、日本の田舎の風景にもとても似ていてどこか懐かしい気持ちになりました。

 

 

 

2022年5月13日~15日の間に開催された「Open House Helsinki」

今回は、ティックリラ教会と住宅地区についてご紹介したいと思います。

 

ティックリラ(Tikkurila)は、ウーシマー県に属するヴァンター市にあり、ヘルシンキ中央駅からティックリラ駅まではVRで15分程、駅から徒歩で約5分の場所にあります。ティックリラ教会・住宅地区の建築デザインは、OOPEAA Office for Peripheral Architectureが行いました。2021年に竣工し、ミース・ファン・デル・ローエ賞の2022年ヨーロッパ現代建築賞の最終選考に残り、上位40の候補の中に入っています。

 

ティックリラ教会とヴェフカポル沿いにある住宅地区は、地域住民のさまざまなニーズに応えることができる多目的な複合施設となっています。

 

 

色とりどりのレンガの外壁の建物は、周囲の都市空間とつながり地域のアイデンティティとなっています。建物へは様々な方向から同時にアプローチでき、自由にアクセス可能な計画となっています。敷地の角に配置され鋭角にとがった教会は、三位一体を意味し建物内部の空間から導き出されいて非常に象徴的な形態となっています。そして、市庁舎に面した村の中心にある教会として、地域のコミュニティの一部としてのみではなくさまざまな活動のための場所を提供しています。教会ホールは建物の中心部にあり、光とコンクリート、木材の空間でさまざまな用途にフレキシブルに対応します。

 

 

また、ホールのほかには、カフェ、家族向けの小さなスペース、グループルーム、ミーティングやワークスペース、ロビー、中庭のチャーチガーデンなどを備えています。居住棟には、162戸の学生用アパートと61戸の賃貸アパートがあり、居住者が共同で利用するためのさまざまな施設を完備しています。

 

教会は、ティックリラ教区とヴァンダ・スヴェンスカ・フォーサムリングの母教会であり、ヴァンター教区の管理・共同教区業務も行っています。そして、学生用アパートはHOASが、賃貸アパートはVantaa教区の所有となっています。

 

近年改築されたショッピングセンターと一体になったティックリラ駅近くの比較的都会のエリアにある教会が、カフェやオフィスなどのコミュニティスペースと学生アパートや賃貸アパートの居住地区と一体に形成されていて、立体的でコンパクトな村を形成しているように感じました。落ち着きのあるレンガを用いた外観とは対照的に、内部は木材を多用した温かみのある空間となっていて、教会ホールはコンクリート打ち放しの仕上げに様々なサイズの窓から入る光が幻想的で非常に現代的な空間となっています。

 

2022年5月13日~15日の間に開催された「Open House Helsinki」に参加してきました。

オープンハウスヘルシンキは、普段一般公開されていない建物を公開して建築家やデザイナーなど専門家のガイド付きのツアーなどを行うイベントです。

 

料金は無料で先着順での参加のものもあれば予約制が必要なものもあり、人気の場所は2週間程前から既に予約がいっぱいになっていました。今年はありませんでしたが、特に建築家アルヴァ・アアルトの建物が公開される場合にはすぐ予約が埋まってしまうそうです。

 

今回私は、キルッコヌンミ図書館-Fyyri(フーリ)とティックリラ教会と住宅地区、ヤトカサーリの総合学校及び旧国立税関委員会オフィスビルの4カ所に参加してきました。まずは、キルッコヌンミ図書館についてご紹介したいと思います。

 

 

キルッコヌンミ(Kirkkonummi)は、ウーシマー県に属する市でヌークシオやボトム湖で有名なエスポーの西側にあり、ヘルシンキ中央駅からキルッコヌンミ駅まではVRで40分程かかります。そして、駅から北に約10分歩いたところにキルッコヌンミ図書館-Fyyri(フーリ)があります。

 

 

Fyyri(フーリ)とは、スウェーデン語のFyr、「灯台」の意味で、海の近くの町だから名付けられたといい、建築デザインはヘルシンキ中心にある地下美術館「Amos Rex」などで知られているヘルシンキの設計事務所・JKMMアーキテクツが行いました。竣工は2020年にで、2021年にフィンランド建築賞を受賞しています。

 

付近にはキルッコヌンミ教会があり、三方を道に囲まれており三角形の建物形状となっていて複数の方向からアクセスが可能な計画となっています。外壁には銅板の菱葺きとなっていて、現在は赤茶色をしていますが今後の色味の変化も非常に楽しみです。

 

建物内部は、図書館の閲覧室などの図書館機能に加えて地域の人が広く活用できるよう会議室、展示スペース、作業室、カフェなどが備えられています。そして、それらの機能はオープンになっていて少しずつ空間を共有し、グラデーショナルに繋がる計画となっています。

 

 

 

ダイナミックで美しい閲覧室や子供が遊べるエリア、イベントスペースとして使える吹抜けと大階段などとても美しい空間となっています。近くに来られた際は是非立ち寄ってみてください。

 

フィンランドで色々な場所のトイレを使用していると、便座などの衛生陶器に「IDO」の

記載をよく見かけます。

 



「IDO」とは、フィンランドで最も古くからあり愛されているバスルームブランドの1つで、シャワーから洗面台、便座、バスルーム家具まで、多くのものを取り扱っています。

現在はスイスのゲベリットのグループ会社となっていますが、その歴史は1873年に設立され、何十年もの間北欧で唯一衛生陶器を生産していたアラビアのヘルシンキ陶磁器工場に由来しています。

 


日本ではTOTOやLIXIL、パナソニックなどのメーカーが衛生陶器や水回り製品のほとんどのシェアを占めていますが、140年の陶磁器製造の伝統からかフィンランドではIDOの衛生陶器が多くの場所で使用されています。
日本語で「井戸(いど)」は、地下水を汲み上げる採水施設のことであり、バスルームブランドの名称である「IDO」とも何か関係があるのかなと思ったりもします。
 

また、私がフィンランドに来て一番驚いたトイレがあります。それは、フィンランド中央図書館「Oodi」の地下にあるトイレです。


そのトイレへの入り口は1階のレストラン脇にあります。そこから螺旋階段を下ってゆき階段を下りきると、様々な方向を向いた洗面カウンターがある開けた場所に到着します。



ここは男女共通(オールジェンダー)の洗面所で、その洗面所を囲むように各ブースが配置されています。各個室の扉は乳白のガラスとなっており、電気が点灯している場所が使用可能となっています。

私はこのスタイルのトイレをOodiで初めて見かけ、驚かされました。これまでの一般的スタイルの男女別々の狭いトイレではなく、共用の洗面所とすることで広く開放的な空間が実現できています。

使用している皆さんはどんな感想なのかも気になるので、また感想などリサーチしてみたいと思います。もしこのトイレに行かれた際は是非感想をお聞かせください。