ルーラルアート+ふるいちやすしの日記 -2ページ目

映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクト

映画「千年の糸姫」の劇場公開に向けてのクラウドファンディングも折り返しの時期に差し掛かりました。ご協力を戴いている皆さんに、心から感謝しています。また、更に応援して下さる方を増やしていく為に、稽古や撮影の時のお話や、ストーリーの一部なども紹介させて頂こうと思います。

 

 

まずはロケ地になった群馬県下仁田町・南牧村のお話から。僕がこの物語をほぼ書き終えた頃、まだ製作のめどは立っていませんでしたが何となく舞台のイメー ジがはっきりしてきたので、舞台になりそうな撮影地を探しに出かけることにしました。始めはなんとなく長野方面かなと思い、車で当てずっぽうにウロウロ探 してました。僕のやり方はいつもこうです。スタジオとかセットは極力使いたくないので、製作が始まる前にロケ地を探し始めます。時には偶然見つけた場所か ら物語を創造することもあります。それほど僕にとって”場所”というのは重要なのです。千年前から大した歴史の表舞台にも立たず、静かに寂れかかっている ような小さな町。それが「千年の糸姫」の舞台のイメージでしたが、その日もピッタリくる場所を見つけられずに、諦めて長野から秩父へ抜けて東京へ戻ろうと していました。ところがその道が雪の為通行止めになっていて、仕方なく佐久市の方から下仁田町へ抜ける国道254号線を選んだのです。もうその日は期待も していなかったのですが、峠を越えて町に近づくに従ってドキドキしてきました。イメージにぴったりなんです。町外れにあたる本宿というエリアは、文字通り 宿場だったのでしょう。古い町並みが残っています。町に入ってからも、一時は製糸工業や蒟蒻で栄えたのでしょうが、今はとても静かな印象。上信電鉄の小さ な終着駅、美しい川、そして本当に独特な山影。

 

 

 

また、ずっと走って来た国道254号線は地図の上では西上州やまびこ街道などと呼ばれているようですが、道 ばたに立つ標識には「姫街道」と書かれている。この時点でもちろん「千年の糸姫」というタイトルは決まっていましたし、姫街道が糸で栄えた下仁田、富岡を 結んでいるというのは偶然にしては出来過ぎていると思っていると「宇芸神社」なんてのも出てくる。この時点で決めていた敵の宇津家という名前まで出て来 た。もう半ば確信に近い思いでこの地に吸い寄せられていると感じました。もう日も暮れかかってたので最後に道の駅に立ち寄り、町の紹介などを見ていると、 秋にはお祭りがあるという。この物語にかかせないファクターがお祭りで、これは絶対に見に来なければ!と思いながらとても充たされた気持ちでこの地を後に しました。

 

 

 

本当にこの地とこの地の人々に出会わなければこの映画は出来なかったかもしれないというお話の続きはまた後日。お楽しみに!

 

PARCO・BOOSTER 映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクト クラウドファンディングにご協力下さい!

3/31日。高円寺で報告会

高円寺にバンディットというトークライブ専門の小さなライブハウスがある。テレビとかではなかなか見かけないけど、一度は話を聞いてみたいと思うような人がテーマに合わせてじっくり、それこそテレビでは言えないような事まで深々と話す。テーマも映画関係が多いような気がする。そんな魅力的なお店、バンディットでロンドンフィルムメーカー国際映画祭の受賞報告会をやらせてもらえる事になった。

3月31日(金)『千年の糸姫』祝!ロンドンフィルムメーカー映画祭最優秀監督賞受賞記念 ”Our prize! ”凱旋トークライブ
 http://pundit.jp/events/2714/


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実はここでは出発前にもトークライブをやらせてもらっていて、上の写真で僕らが持っているポスターにはその時来てくれた方々の寄せ書きサインが書いてあって、それをこうしてロンドンまで持って行った。心強かったよ。こうしてだんだん膨らんで、育って、劇場公開に繋がっていけると幸せだな。今回もまたサインが増えるといいな。

聞き手には日本映画批評家大賞のボンちゃんこと西田和昭さん。聞き手と言うより、この人の話そのものがメチャクチャ面白い!僕も映画祭ってやつについて深く話そうと思っているので、映画作ってる人、これから海外の映画祭に挑戦しようと思ってる人にもぜひ聞いてもらいたい。そしてどんな質問にも答えようと思っている。更に今回は千年の糸姫の中で弾いてるテーマ曲も生でお聴かせしようかと考えている。そしてもう一人。お宝映画発掘家の中野ダンキチさんも来てくれる。この人のサイト(http://movie-nook.com/2017/03/05/itopri03/)ではいつも千年の糸姫を応援してくれてる。もちろん出演者やスタッフも駆けつけてくれるはずで、とにかく前回も熱気が凄かった。また今回も映画の舞台となった群馬県下仁田町の美味しいものを用意しようと思っているので楽しみにして頂きたい。何分小さなお店なので、ぜひ事前予約を!
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御来場、心からお待ちしてます!

よし!また始めるぞ!(ロンドン・フィルムメーカー国際映画祭)

いや、別に止めちゃってたつもりはないんだけど、前回が「謹賀新年」それも去年の。ごめんよぉ、本当にいい事がなかったんだよ。今回、良い事があったもんで、調子に乗って復活します!そして今度こそ続けます!!

 

ね、良さげでしょ?そうなんです。『千年の糸姫』なんです。ロンドン・フィルムメーカー国際映画祭に入選し、監督、主演女優(二宮芽生)、主演俳優(山口快士)、ヘアメイク(長谷川廣樹)そして音楽と、5部門にノミネートされ、なんと最優秀監督賞(長編外国語映画部門)を獲得したんです!
監督賞ってね、何が良かったのかはっきりしない。だって監督の仕事って映画の中に写ってないからね。果たして審査員が何を見て「この監督はベストだ。」と判断したのか???強いて言うなら映画全体、だけどそれはスタッフや役者が頑張ったからに他ならない。だから僕はこの賞はもう一つの作品賞、もしくはチームに与えられた賞だと思っているんだ。だからチームのみんなに「ありがとう」ではなく「おめでとう」と言いたい!けっして個人賞ではなく、みんなの賞だ。この写真も挨拶で”This is our prize!”って叫んでる時のものだ。特に役者達の演技は素晴らしく、上映後はみんな取り囲まれて祝福されていたからね。本当に誇りに思った。何より、「あ、伝わったんだ。」と。それが一番嬉しかった。

 

 


『千年の糸姫』予告編

 


 

さて、それはそれとして、なんとか皆さんにも観てもらわなければ!

今、年内の劇場公開を目指して必死で動いている。追々紹介していきたいが、その為の心強い仲間も新たに加わった。最後に必要なのはお客様!それも半端な数じゃだめなんだ。どうか、興味を持って下さい。そして広めて下さい!よろしくお願いします!!

謹賀新年





ここのところ重いテーマの作品が続いたので
ずっとドイツのクラシックレンズ、カールツァイス・イエナで撮っていたのだが
一度優しいフランスのアンジェニュー戻ろうと思う
昨日、このレンズを付けて
スタジオの周りをブラッと歩いたのだが
さすがに長年使っていたレンズだけに
感覚はすぐに戻った
やっぱり落ち着く




とかく暗い暗いと言われる僕の映像だが
別に暗いのが好きなというわけではない
その時々で撮りたい物を抽出していくと
結果そうなる事が多いというだけのこと
その被写体が姿かたちではなく
“思い”だったりすることが多いので
抽出と言っても
余計な物を引き算していく感覚
高精細とか高輝度でもっと見るというよりは
他のものを隠していく方が
人の意識と似ているように思うんだ
眼鏡をかけたり、ライトをあてたりするのではなく
意識をそこに集中させた時の見え方
それを再現しようとすると
どうしても引き算になってしまう
だからテーマや自分の心持ちが優しかったり明るかったりすれば
自然に明るい絵になる・・・・筈なんだが




そうでもないか?(笑)
でも、僕は決して根が暗いという訳ではないと思っている
根本的に明るいからこそ
暗い世界に没入することができるんだ
そこで根が暗かったら戻れないし、うつむいて目を閉じてしまうし
最悪の場合、死んでしまう
僕の根底には闇であろうが重いテーマであろうが
じっくり凝視できる明るさがあるんだ
こういうパラドクスは僕の中にたくさんあって
例えば僕が優しくもなく、温かみのある人間でない事は
自分で嫌というほど分かっていて
だからこそ優しさや温かさの輝きが眩しいほどに見える
基本的に優しい人には普通のことであっても
僕には特別なものに見える
派手ではないし、大きな救いにはならないかもしれないけど
そういう小さな優しさや温もりのある作品
僕には見逃さずに撮れそうな気がするんだ
アンジェニューレンズが見せてくれる優しいトーンは
それを見せてくれる僕の目
この目で捉えたいもの
このレンズの中にいてほしい人がいる




去年撮った作品が
今年は一気に公開される筈
皆様にご多幸を!
そして僕らの作品がその一つとなることを祈ります。
新年おめでとうございます。

『千年の糸姫』②クランクアップ




いや、②でクランクアップって・・・・
いやいや、もちろん遡って色々報告しますって
うるさいくらいにね!

最後の最後まで
一分、一秒に追い立てられるような撮影だった
お陰でクランクアップの時の感慨など味わっている暇もなかった
2日たった今、やっとのことで身体と心が動き始めている
珍しく振り返ってみると
とにかく苦しいロケだった

もっと別のやり方はなかったのだろうか?
どうしてあんな態度をとってしまったのだろう?
そもそももっと別の監督の方が良かったのでは?

そんな事を考えてしまうほど、
今回、僕は監督としてダメだった。
映画を作るだけではなく、
映画を作る環境を作るところから
監督として僕はしくじっていた。

それでも素材をチェックしてみると
すごい映像が撮れている
これは一重に役者たちの物語と役柄に対するぶれない思いと
有能なスタッフたちの粘り強い働きに依るものだ
船頭が崩れても舟は動いた
素直に喜んではいけないが
僕は彼ら、彼女達への尊敬と感動に充たされている
せめて彼女達にとって、そして何より観て頂く皆さんにとって
意味のある作品にするべく
これからこの宝物を編み上げていかなくてはならない。




最終日のこの日
午前中は劇中最も穏やかで温かいシーン。
ところが午後からは最も凄惨で悲しいシーン。
役者たちにとってはとんでもないスケジュールだったろう
せめて日を分けてやるべきだった
だが彼女達は文句ひとつも言わず
見事にこの苦しみを乗り越えてくれた








ヘアメイク、衣裳、技術スタッフ、広報に至るまで
苦しいほどの一体感。
それに巻き込まれるように
この日初めて参加した役者やスタッフさえも
最後にはもう誰が何をやっているのか分からないほど
みんなで舟を動かしていた。
導いたという実感はない。
ただ、みんなの情熱とプロフェッショナリズムが
一つの方向へ突き進んでいたのだと思う。









そんな人達に
僕はありがとうもごめんなさいも言えなかった
なぜならそれはもう僕の為にとか監督に従ってとかのレベルではなかったから
みんな、それぞれの力で『千年の糸姫』を作り上げようとしていたのだ。
ただ、凄い、と思った。








僕には監督としての力が
まだまだ全然足りない
この素晴らしい人達がいたからこそ
それに気付き、
今は正直、ボッコボコに凹んでいるが
きっとまた歩き出すのだろう。
その結果を、『千年の糸姫』という作品を
楽しみにしてほしい!