ルーラルアート+ふるいちやすしの日記 -4ページ目

K.Yairi RAG-1



上映の告知です。繰り返します。
でも、ただ繰り返していたんでは失礼なので、
上映の日まで作品の事いろいろお話ししていこうと思います。
まずはギターのお話しです。
「彩~aja」のクライマックスに入るところ
彩の印象的な表情から流れる曲を弾いたギターです。



実はこのギターの事を今日Twitterで尋ねて下さったプロの作曲家の方がいて
なんだか語りたくなりました。
やっぱり同じ音楽家に興味を持ってもらえると
嬉しいです。
とても小さなギターなんですが
今、流行のトラベルギターという物ではなく
この大きさでしか表現できない
素朴で、チャーミングで、そして艶やかな音のする
大真面目な楽器です。





今年3月、惜しくも亡くなられた
世界に誇れるギター職人、矢入一男さんのブランドK.Yairiは
海外ではAlvarezという名前で
ポールマッカートニーを始めとする一流のミュージシャン達に愛されてきました。
今はもうラインアップから消えているモデルですが、
受注生産には応じてくれるようです
RAGという名前から想像できるのは
ラグタイムブルースのようにガツガツした演奏ですが
実際はとてもセンシティブで表現力豊かなギターで
マホガニー材の温かい音色がたまりません。
そのマホガニーもネック、サイド、バックの全てにトラ目が入っており
本当に心を込めて木を選んで下さったのだなと感謝しています。





僕のが1992年製ですから、もう22年弾き続けているギターですが
どこのスタジオへ持っていっても大評判でした
特に外国では驚きを持って賞賛され
この独創的でかわいいインレイを見て、日本の物だとは信じてもらえなかったほどです。
でも、Alvarezだよ、というと納得してくれました。
日本人としては鼻高々です。
最近、中国のずさんな物作りやパクリに辟易としてるんですが
ちょっと昔の日本の楽器作りもアメリカのコピー物ばかりで似たようなものでした。
そんな中で、オリジナルの感性で真摯にギターを作り続けてきたK.Yairiには
尊敬の念を隠せません。
そんな感性が日本人の僕の映画作りにもフィットしているのでしょう
ここぞ、という時にはついついこのギターを取り出してしまいます。
「彩~aja」もこの楽器の音と共にお楽しみください。



さて、告知です。
モナコ国際映画祭二年連続受賞作品
「彩~aja」(2012)、「艶~The color of love」(2013)、劇場公開のお知らせ
【東京】
9/11(木)-15(月・祝) ①16:00 ②19:00
@原宿・CAPSULE(カプセル) http://capsule-theater.jp/

【京都】
9/20(土)-23(火・祝) 11:00
@木屋町・立誠シネマプロジェクト http://risseicinema.com/

*全回、来場トークあり。

チラシとポスターもできあがり、いよいよこれからが頑張りどころです。
チケットのご予約は下記まで、お名前と日付(東京は時間も)お書き添えの上
メールでお願いしております。
東京プチ・シネ協会 
tokyo_petitcine@yahoo.co.jp


会場で皆様とお会いできること、楽しみにしております。

Fender Telecaster Thinline



なんともゴージャスなFender Telecaster Thinline。
実は僕が19歳でプロのギターリストになった時、
始めて買ったヴィンテージギターが1969年製のこれ。
いや、もちろん昔のギターなのでこんなゴージャスな物ではなく
ボディーはオリジナルのマホガニー材。
ネックも所々塗装が剥げているものだった。
70年代に入ってハムバッキングマイクになる前のシングルコイルが付いてる物で
写真でしか見た事なかったがずっと憧れのギターだった。
それをある日先輩ギターリストが使っているのを見て
何度も何度も頼み込んで
やっとの事で売ってもらった。
そう言えば当時はヴィンテージギターのお店なんて
今のようにはなかった。
だからこんな珍しいモデルが日本で見られる事が稀で
当然、高かった。
正確な値段は覚えてないが、
優しい先輩がプロになったお祝いも兼ねてかなり安くで譲ってくれた。
それでも当時の僕にとってはとんでもない買い物だった記憶がある。



そんな価値の高い物だったもんだから
お金に困った時には真っ先にお金に換わってしまう。
「なんだ、そんなもんか。」と言わないでくれ。
そりゃ愛着は普通のギターとは格段の差がある。
それがヴィンテージともなると
もう二度と再び、買い戻す事はおろか、お目にかかる事もないと覚悟しなければならない。
貧乏を呪い、そうなってしまった自分の力のなさを呪い、
最悪の気持ちでお別れをする。
また、珍しいギターでもあったので
仕事の度に「あれ?シンラインはどうしたの?」なんて聞かれてしまう。
何度も何度も屈辱を味わう。




その後も懲りずに何度かヴィンテージギターを買った
1953年製Fender Telecaster、1968年製Gibson ES-330
だが結局同じ運命を辿り、
貧乏の沼に吸い込まれていった。
そしてその度に味わう特別な屈辱。
ついにトラウマとなって
僕は二度とヴィンテージを買わなくなった。
今では楽器屋も増え、
手頃な値段でかなりできのいいレプリカモデルも売り出されている
だがヴィンテージはもちろん、レプリカですら買う気にはなれない。
悔しくって。




そして今日、
ちょっとした部品を買いにいった楽器屋で
このゴージャスなシンラインが中古品として出ているのを目にした。
以前の物とは似ても似つかないきらびやかさ。
あまりに違うギターなのでトラウマの痛みは感じない。
で、弾いてみると、ああ、やっぱりシンラインの音。
ちょっと待て。一回冷静になろう。
一旦外に出てカフェに入り平静を装う。
確かに今でも仕事としてギターは弾いている。
でもスタジオミュージシャンをやってる訳ではないので
そんなにいろんな音を求められる状況ではない。
はっきり言って今持ってるギターで充分事足りている。
ふと、今も一線で活躍している友人のギターリストの顔が浮かんだ
そいつがあろう事か「買うてまえ!買うてまえ!」と笑顔で連呼している。
いやいや、お前とは状況がちゃうんや。
よし、このまま帰ろう!
カフェを出て15分後、


クレジットカードを差し出す僕がいた。
あああああ・・・・・・・ええ音や・・・・。
今はただこのギターが貧乏沼に吸い込まれる事がないように祈るばかり。
そんな時にはきっと10万倍の屈辱が僕を襲うだろう。

泰然自若の人

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興味と問題意識のポイントが
僕とすごく似ている人に出会った
映画、演劇、音楽、町、建物
いろいろな事
なんだけどバラバラな事ではない
何か一つの感性
一つの核から自然にそこに興味が湧く
ただ彼と決定的に違うのは順番だ
僕は興味が湧いた一つ一つを
実際に作る事から始めた
いや、さすがに町や建物は興味止まりだが
ギターの演奏から始まって
作曲、演劇、映像と
そしてだんだん、なんとなく核が見えてきた
彼は違う
始めから核があって
そこからいろんな事を始めている
だから実際自分の手で作るという事まではしていないが
プロデュースという形で建物や町まで作って来た
だから揺るがない
そして大きい事をやってのける
彼がエンジンだとしたら
僕は歯車をたくさん集めているに他ならない
今更スタイルは変えられないが
彼のクリアーな態度に比べると
僕はいつももやもやしていて
そして小さな事しかできないでいる。
泰然自若。
ちなみに僕の「やすし」は「泰史」と書く
名前負けだ。
僕はいつも、そして多分これからも
バタバタしながら生きていくんだろう。
「ふるいちさん、最近旅をしてますか?」
彼が柔らかい表情で問う
憎たらしいったらありゃしない。
彼は世界中を旅してまわり
そして釣りをこよなく愛する
僕には絶対にできない事だ
「旅はちょくちょくしてますよ、近場だけど」
「うん、それもいい」
ボロ負け!
憎たらしいったらありゃしない!

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竹林にて

ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

美しい竹林へ行って来た
さわさわさわさわ
軽い葉音と鳥の声
その中でギターを弾くという贅沢
とあるレコーダーのテストの仕事だったんだけど
ほんとにいい時間を過ごした
近々PRO NEWSで公開です
なんかね
音楽にしても映像にしても
全部デジタルの中にある感覚
コンピューターの中で作って、再生されて
葉音のさわさわを
SEやノイズとは言わず
ちょっとお邪魔してギターの音をとけ込ませる感覚
空気の流れ
録音にしても撮影にしても
それを捕える事ができるんだろうか?
ただ在るものを
ただ見る時間
ただ聴く感覚
大事でしょ

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ガチ!バチ!と写るカメラはいくらでもあるけど
どうしてもデジタルのギザギザが気になるんだ
だから僕はできるだけ
まぁ、できるだけなんだけど
スムーズなカメラやレンズを選ぶ
例えばスタジオの中で
たっぷり化粧した人に
強いライトを当てて撮るとしても
人は人。
自然の一部なんだ
都会だとか言って突っ張っていても
そこにいるのが人である以上
そこに雨や風が吹き込んでくる以上
自然そのものなんだ
それを見過ごさないこと
忘れたくないなぁ

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昨日
京都から知り合いのカメラマンが
僕のスタジオへナレーションの録音にやってきた
その後カメラの話になり
彼はSONY FS700を使っていて
少しスムーズさに欠けると不満をもらした
あ、やっぱり分かってるんだ
そこで僕は自分のFS100の話をした
700が出てからもう旧版のように思われているが
センサーが基本的に違っていて
このセンサーを積んだFS100とF3は別格のスムーズさを誇っている
どちらも新機種が出て
残念な事にこのセンサーは使われなくなってしまったが
先日SONYの技術の人と話したら
「いや、まだ終わってませんよ。」と
嬉しい言葉。
FS700は抜群に便利で優れたカメラ
僕も時々借りて使わせてもらうけど
入魂のカットはやはり100で撮りたくなる
この違い、みんなに分かってほしいなぁ

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スナップwith NIKON 1 + Cマウント

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本当に町を撮るのは難しい
難しい?・・・いや、困難?
ん、困る。
撮れない時は一枚も撮れない
それも近所になればなるほど撮れない
正確には撮りたくならない
原宿辺りに行くと
写真学校の学生風の人が
一眼レフぶらさげてうろうろしているのをよく見かける
でも、バシバシシャッターをきってる姿は
あんまり見かけた事がない
「こんな町、今更特別撮るところなんかないよ」
結局、そんな目をして
流れる人を呆然と見送っている
せっかく重いカメラを持って
せっかく出かけて来たんだから
と、
無理矢理シャッターを押す度に
心のどこかがグレーに固まる

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もうお帰り、今日はきっと何も撮れないし
無理して撮った物を家に帰ってから見ると
写真やめたくなっちゃうから
そう声をかけたくなる。
ふふふ、僕も昔そうだったんだよ

でもそれは原宿のせいでも
近所だからという理由でもないんだ
その時、撮れるか撮れないかは
いや、その前に撮るべき物を見つけられるかどうかは
自分の気持ちの問題なんだ
落ち着いてりゃいいってもんでもないし
俯いていては見えないし
心を活かさないで
在るものばかりを追いかけてると
そりゃあもう、みんなが知ってる見飽きた物しかないし
いつの間にか珍しい物を見つけようと必死になってるし
そんな時は、
さあ、帰ろう!



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最近またよく聞かれる
ブログに書いたことなかったかなぁ?
調べるのも面倒なので改めて書きます
僕のポケットカメラ
とは言ってもレンズをいつも3本もって歩いてるから
ポケットとは言えないけど
一眼レフは持ち歩かない
仕事の時か、よっぽど撮る物が決まってる時でないと
撮らずに帰って来た時に凹むでしょ
NIKON 1 J1 にCマウントレンズを付けて
ちいさなバッグに入れて持ち歩いている
時々メインのアンジェニューレンズだけを付けて
裸でぶら下げてる事もあるけど
そんな時はよく声をかけられる
「これ、何ですか?」って
案外カメラ屋さんでも聞かれる(笑)
びっくりしたのは「ふるいちさんですよね?」って言われた事もある
もちろん顔ははっきり知らなかったらしいんだけど
カメラでそうじゃないかと思ったらしい
確かにこんなカメラをぶら下げてる人は
他に見た事ないなぁと笑ってしまった
町で見かけたら
それ、多分、僕です。

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メインのP.Angeneux 16-68mm f2.2
35mm換算だと約2.6倍になるから
41mm-170mmくらいかな
多分50年くらい前のフランスのレンズ
明るく撮った時と暗く撮った時の表情が全く別ものになる
実はこのレンズを使う為にNIKON 1が出たとたん買った
センサーのサイズが
元々Cマウントが使われていた16mmフィルムとほぼ同じ
もうすぐBlack magic からほぼ同じ大きさのセンサーを持ったカメラが
発売されるけど
僕はNIKON 1 のV2の方がほしいな
Black Magicはこの前現物を触ってきたけど
絵作りが何にもできない
コントラストも触れないんだ
嫌だよねぇ、そんなカメラ。

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KINOTOR 12.5mm f1.4
年代不明の日本製のレンズ
16mmとの差は3.5mmしかないけど
2.6倍だから9.1mmの差
つまり約32.5mmの広角って事になる
本当はもっとワイドがほしいんだけど
いろいろ試してはみてみるものの
画面がけられたり、歪みすぎたりで使えない
目下の所、これが僕のワイド端
トーンもアンジェニューに似ている

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LOMO 25mm f1.4
トイカメラで有名なロモのレンズ
アンジェニューが寄れない(90cmくらい)レンズなので
マクロ撮影はこれでやってる
手前のマクロスペーサーもおまけで付いているので
べったり寄れる優れもの
実はこれは現行商品
しかも4000円くらい
Cマウントのレンズは今でも工業用や監視カメラ用に使われていて
今もいいレンズがいろいろ発売されている
中にはびっくりするくらい高価な物もあるけど
大体は安くで手に入る


まぁ、高画質を突き詰める事も大事だけど
こんな遊びを日々やってる訳です。