北加発:アメリカ合州国、教育、人々、その他、なんでも -2ページ目

ジョン万次郎と同じ床を踏むこと

若い頃に読んだ、ジョン万次郎漂流記(井伏鱒二)がいつも頭のなかにある私なのですが、やっととたどり着いたという感覚で、彼が1840年代初頭の在米中に滞在していた現存の家を訪ねました。マサチューセッツの南端にある、往年は捕鯨港として有名だった、Fairhavenという町の海岸近くにある、この家は、記念館となっていて、前もって予約をすれば親日家のジェリーさんが現れて、館内の説明をしてくれます。彼は私たち2人だけのためにわざわざ来てくれて、40分ほどのガイドの予定が、1時間40分ほどになって、ついでにご当地名物のクランベリージュースもご馳走になりました。万次郎の滞在中には2階建てだったこの住居はその後持ち上げられて、一階部分が新築されたので、現在は3階建てとなっています。

16歳の万次郎は、この家から学校に通っていたといいます。英語を学びながら、航海術まで学習して身に着けた彼は、多分、鎖国中の日本ではなく、アメリカ人に生まれていたほうが、幸せだったのではないかという思いをもちましたが、彼が危険を犯して日本に帰国することを選んだことを思うと、彼の中の”Nationalism”(「右であれ、左であれ、わが祖国」的な)の発露を垣間見ることも出来るように感じました。

ジョン万次郎の話のなかには、救出したマサチュウセッツ人船長の友情、おおらかな親切といったものが理想的な形で体現されているので、聞いていても気持ちが良いのですが、万次郎が持っていた有能利発があったればこそ、実現した話だと思いますから、やはり、個人として相手をうならせるものがなければ、このような美談も歴史に残らなかったのではないか、と言う思いもします。

もしも興味のあれば、下のサイトから記念館ツアーに関する連絡ができます。

http://www.whitfield-manjiro.org/

ジェリーさんに教えてもらって、隣町のNew BedfordのFreestonesというレストランで、Seafoodの昼食を食べましたが、ここはお勧めです。

某文理学院を訪ねる

ご無沙汰をしていました。

16泊18日の東海岸、東カナダの観光からつい最近戻りました。息子を訪ねて様子をみるという件もあったので、週日は旅行、週末は彼の某文理学院の近くにいて一緒にすごすという日程でした。彼はとても元気ではりきって仕事をしているようで安心しました。新入生340名ほどが住んでいる3つの建物の寮の舎監をしていて、学生からの「自殺したい」といった脅迫に対応したりで忙しくしているようです。

2泊だけ、寮内の彼のアパートに泊まらせてもらって、Sleep Overの体験もしましたが、ステレオががんがん、廊下を走り回る学生がいると言う状態ですから、Quiete Timeの午後11時までという制限があるにせよ、2泊はもう十分と言った感じでした。息子などは、この騒音にはもうすっかり慣れているようです。彼とガールフレンドは、ギニーピッグを2匹飼っていて、2つあるベッドルームのひとつは飼育室をなっています。彼の日課では起床は8時15分、シャワーを浴びて、ダイニングホールで朝食、その後事務所まで徒歩5分というものですから、気楽なものです。彼の紹介でこの大学の数名の学生にも会いましたが、気候のせいでしょうか、Pomonaの学生のおおらかな明るさに比較して、すこし陰影があるような印象をうけました。

学内のツアーを私が所望したので、息子が私たちを連れまわって、彼の事務所(1つは個室でもうひとつは2人部屋)や教室をみたり、構内を歩き回っていろいろ説明をしてくれました。統一されたスタイルのレンガ作りの校舎の建物が散在していて、古風な大学のイメージです。
学長も構内の邸宅で暮らしています。

帰るころにちょうど大学の木々が紅葉のさかりで、目の保養にもなりました。

Admissionの難しさ

大学の入学審査部は、どの応募者を入学させるかというゲートキーパー(門番)なわけですが、ここでは学力のみではなく、その学生がその大学で成長できるのか、あるいは逆に厄介な問題を起こさないかという面もふくんだ判断をしているわけですね。しかし、大学の入学審査は天網恢恢と言うわけにも行かず、なかには、審査の網の目をくぐって入学してくる学生も時にはいるというのが、今回のお話です。

いま、某文理学院では、学生部が頭を抱えている問題があるそうです。それは、一人の学生とその母親についてだそうです。その学生というのが、外部から公平に見て、嘘をつく、責任感がない、事件を針小棒大に報告するといった心理を持っているようで、このことで、保安課の職員(警察官)も錐きり舞をさせられていると言います。「外から騒音がある。」と言う苦情で行ってみると、本人が聞こえている音は、職員にはかすかにしか聞こえない。「上の部屋の音楽せいで、壁が壊れた。」といった報告があって部屋に行くと、壁の壊れ具合がどうも、体の形に近いなど不信な点が多かったというような事件もあったそうです。

このような『事件」のなかで、職員が対応して学生の不必要な不安をなくそうと努力もしているのですが、その対話が、学生から母親に伝えられた時点では、職員に怒鳴られたと言う転換をしていて、それを、その母親が大学の親たちのフォーラムで通報すると言う事態もあり、ことは、某文理学院の世評にも関わるというレベルまで発展して、当局は頭を痛めているそうです。事態は深刻で、現在は大学の法務科もこの事件に乗り出していると言います。

大学は一度入学させた学生を追い出すことは殺人犯でもなければ、不可能に近いので、入学審査は、とても大事です。この学生について、後知恵ですが応募書類から分かっていたことは、普通には考えられない、高校時代の数回の転校をしていたことです。この点から『要注意」の旗が揚がらなかったとすれば、某文理学院の審査部の犯した大失敗だったかもしれません。

JackとPaul

アメリカの大統領選挙もいよいよ山場を迎えて、双方とも丁々発止と論戦を戦わせている様子で酢が、最近の報道で、オバマ大統領と共和党のライアン議員の不仲の原因の一端が、名前を間違えて呼ばれたことにもあるのではないかという疑問もあるとのことでした。

これは、オバマ大統領がポール ライアン議員をジャックと呼んだことに起因するそうですが、この間違いは、アメリカのトム クランシー ファンであれば誰でもでかしそうな間違いのようで、私は笑ってしまいました。ポール ライアンとジャック ライアンを比べれば、公平に見ても、有名度の高いのはジャックのほうで、ジャックのほうは映画だけで4本もあります。本のかずでは、その倍はあるでしょう。小説のなかでは、ジャック ライアンは、大統領にもなっています。大統領にしてみれば、うかつな間違いだと批判はされると思いますが、私が庶民のポールライアンに会ったとしても、ありそうな間違いだと思います。

私なども、年とともに名前の記憶力は減退していくので、アイルランド系のライアンが付いた名前で記憶に残るのはジャックとライアン オニールくらいになってしまうのかもしれません。

某文理学院がPomonaよりも優れていること。

息子の勤める某文理学院では、昨日の日曜日が新入生の引越しの日でした。新入生は一挙にやってくるので、どの大学でも大忙しの日だと思います。車を止めて、鍵をもらい、部屋まで荷物を運ぶ(時には何百メートルもある)のは階段があったりすると結構な労働になります。

さて、この文理学園では、車が寮の近くに止まると、一組5名のボランティの学生がわらわらと車に取り付いて、鍵をとってきてくれる、荷物は部屋に運んでくれるというサービスがあるそうです。このサービスは、皆が受けれるといいます。息子の部署では、今年度は12組、60名のボランティアを配してこのサービスにあったったといっていました。親は本当に楽ですね、このようなサービスがあれば、、、、

荷物を運び終えて、一段落すると、今度は次の事務手続きのところまでも、ボランティアが案内をしてくれるということで、ここでも待つことは1-2分、大変能率よく入学手続きが出来る仕組みとなっているそうです。私たちがPomonaで入学手続きのために、列を作って待った時間は20-30分ほどでしたから、某文理学院の仕組みのほうが新入生と親にとっては、効率がよいですね。

ところで、Pomona Collegeは今年度 125周年をむかえます。寄付金の最大の行き先は、FA、不況にめげずに必要に応じてのFA拠出を頑固に守っているようです。




MASHに嵌ってしまった。

私が、こちらに永住して来た頃に放映されていたテレビ番組の再放送がデジタルマイナーチャンネルで行われています。20-2 Me-TVというチャンネルですが、ここでは、なつかしのRockford File,Rifleman, Bonnanza,Hawaii 5 0なども再放送をしています。

このなかですっかり週日の5日間、欠かさず見ているのが、MASHです。これは放映当時にも結構Amyなどの賞をとっていた人気番組でした。朝鮮戦争時のMobil Army Surgical Hospital(陸軍移動外科病院)の中の物語ですが、戦争下で自由が制限され、負傷者の死が身近な状況のなかで、搬入された患者の生存率が98%という驚異的な成果を上げている組織のなかでの人間性の物語りです。

この番組があった(1972-1983)はじめの頃では、ベトナム戦争も終結していなかったので、この戦争が社会に投げかけていた影を背負っての放映ではなかったかと思います。1971年放映の映画のほうのMASHはこの番組の奔りというか、元祖とでもいえるようです。

この番組を見ていると、アメリカの軍隊の中のの姿が少しだけ分かるような感じがしてきます。おそらく社会のなかで一番杓子定規な組織である軍隊をみれば、その社会のなかでのさまざまな許容度というのも、想像がつきそうです。この番組が描いている軍隊が実物と歴史的な本質として大差がないのであれば、日本の軍隊とは、個と組織、個人の責任といった面では全く違う様相のものだという思いがしてきます。

アインシュタインが文理学院に見出した価値とは

「パイプでタバコを吸う行為は、人を思索的にするようだ。」といった名句も吐いた天才は、リベラルアーツカレッジ(LAC-文理学院)についても、その評をしていたようです。以下、ご紹介してみます。

"The value of an education in a liberal arts college is not the learning of many facts but the training of the mind to think something that cannot be learned from textbooks."

—Albert Einstein

うまいことを言うものですね。

amazonは便利、安いの裏にあるもの。

ポチッをすると物が配達されてくるので、Amazonは便利で、私もこれまで随分とお世話になっています。今も、先日注文したCDや傘などを待っているところです。

この便利さ、廉価さの裏にあるのは、テクノロジーによる在庫管理、情報伝達、決済などの簡便さのほかに、広大な配送倉庫ではたらく人々の悲しい労働の現実があると知りました。12時間労働は会社が標準と言い、トイレに行く時間がない、子供が病気になって休めば首、品物を棚から取ってくるノルマはいつも達成した以上のものが求められる、といった劣悪な労働条件ではたらいている人たちがいるからこそ、普通の価格よりも安い価格で売ることが出来るというシステムをみると、アマゾンと、Walmartを比べても、どっちもどっちだという思いもしてきます。

1日に、800からの注文品を一人で広い倉庫の何重にもなった棚から取り出さなければならないそうですから、歩いていては、仕事にならないといいます。そうして仕事のノルマは、限りなく増えていき、それが達成されないことが続けば、これも首が飛びます。このような条件で毎日働いていれば、事故は起こるのが当たり前ですから、危険な仕事だともいえますね。

これらの倉庫内の労働者は、機構としては、倉庫管理を請け負う会社の社員でアマゾンの社員ではありません。しがたって、もし、問題が起きても法律的には、アマゾンにはその責任を否定することは可能となっています。道義的な責任はアマゾンにもあるでしょうね。

選挙に日に『今日選挙に行ったらどうなる?」とある従業員が班長に聞いたら、『選挙に参加することは市民として大切なことだけれども、それでも首になるね。」という答えだったそうです。

以上、この国の左翼雑誌のMother Jonesの潜入記者の書いた記事からの紹介です。

この記事を読んで、これからは、少しだけ注文の量をへらそうかと思っている私です。

新入生がやってくる

ちょっとのんびりした夏をすごしていた息子も、来週からResident Adviserとなる学生たちが帰ってきて、彼らのトレーニングが始まるために、忙しくなるようです。こんども、この訓練中に彼はDiversityに関するセミナーを受け持ち、現在その内容を再検討中だそうです。訓練は土日の休みはなく毎日10日間です。

また、今年から学生が参加するHall Government(寮内を区分けした学生の小さな自治のグループ)発足が計画されているので、この準備もあるようです。

前年には、5名の職員の舎監がいましたが、来年度は一名欠員のままの4名で持ち場の再振り分けをしてやっていくことになったそうです。息子の受け持分については、新入生が大多数でほかの寮よりも手間がかかるという理解のもと監督する学生の総数には変化はないといいます。

そして、あと2週間ほどで新入生がやってくることになります。実務経験の1年が経って、学んだことを今年度はどう生かせるのか、「母親たち」からの部屋割りに関する苦情などを彼がどう裁いていくか、私などは、興味津々といったところです。

シメサバをつくる

相棒がちょっと大型のサバを釣ったので、今日はそれをいただき、人生初めてのシメサバを作っています。3枚におろして、腹骨を剥き、両面にたっぷり塩をまぶして、現在は冷蔵中です。あと2時間ほどしたら、出して洗って、小骨を抜いて、今度は酢につけこみます。鮮度だけがとりえですが、賞味に耐えるかどうか、まったく予想がつきません。ワイフはサバ好き人間ですから多少の味の不完全があっても大丈夫だと、高をくくっているのですが、、、、

このほかに、イワシもつれたので、こちらは「たたき」とフライにでもして食べようと思っています。久しぶりに釣った魚で夕食のおかずが賄えそうです。裏庭のきゅうりも使えば、自給的夕食ができそうな今夜です。

明日は今日よりも明るくなりそうな気配がします。